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鞍馬山

金毘羅山
天ヶ岳
鞍馬山

日程:2014/06/17-18(一泊二日)
ルート:鞍馬寺仁王門 - 由岐神社 - 本殿金堂 - 背比べ石 - 魔王殿 - 貴船神社

コースタイム:About 3 hours
鞍馬山:584m

距離:?km
累積標高:?m
天候:雨
気温:?℃
湿度:?%
目的:朱印
単独行

鞍馬温泉はまだ準備中だった。開店は一時間も先だった。そんなには待ってられないと、鞍馬寺参拝に予定を変えた。

朱印帳を忘れてきた。だけど買えるだろうと思った。
思った通りに由岐神社に朱印帳が並んでいる。しかし本日御朱印出来ませんと、貼り紙がある。それでも朱印帳になら記してあるだろうと思い、ベルを鳴らした。全てがボクの失敗を補うかの様に、出来過ぎだった。

朱印帳に鞍馬寺が加わった。

未だ雨は強さを増すことさえなかったが、どれだけ待とうとも止みそうにもなかった。
それは二十年前の失恋の傷痕のように、痛みこそないが、決して消えない痒みを伴う疼きの様に、ボクに降り注ぎ続けていた。

奥の院への参道へ入り、涸れている息つぎの水の説明を読むために立ち止まる。
ふと、後ろから着いてくる女性の姿が目についた。遠目には、その服装から20代の少女の様にも見えたし、膝に手を置き息を切らせる姿から70過ぎの老婆の様にも見えた。あんなにヘトヘトで大丈夫だろうかと不安になるくらい、体力がないってことだけはわかっていた。

背比べ石で休憩を摂る。あの女性が20歳の少女か、70歳の老婆か、確かめてみようってイタズラ心からだ。
随分と待っていると、誰か登ってくる気配がした。
しかしそれは、スラックスにYシャツ姿の男性だった。
この雨にあの体力だ。諦めて引返したのかもしれないと、袋に残った柿ピーを口の中に流し込み、イヤホンを付けて音楽を流した。そして顔を上げると、そのコがそこに立っていた。そのコというぐらいには若いコだった。
「コンニチハ」の形を唇はなぞった。しかしDavid Guettaに遮られたその声は、ボクには届かなかった。気まずげに頭を下げたボクは、立去る動作を妨げることも出来ずに駆け下りて行った。

鞍馬山に登るのは、昔付き合っていた彼女とのデート以来だった。
ふたり、貴船川に並ぶ川床を眺めながら貴船神社を目指し歩く。
道端に赤く熟したヘビ苺に屈み込み、ヨダレを垂らしたカノジョをボクは笑った。
だって美味しそうだったんだもん。笑うボクをカノジョは睨みつけた。
そして人目を避けてクチヅケを交わした木の根道は、その時の様に怪しくもなく、艶かしくもなくなっていた。

魔王殿のベンチでパンフレットを眺めながらかりんとうを齧った。小腹が空いていたし、あのコがちゃんと来たのを確かめて安心したかったからだ。
そしてそのコは、背比べ石で待つよりも圧倒的に早く現れた。それは多分、下りだから楽だったって単純な理由だろう。
「こんにちは、また逢いましたね」
息を弾ませ声をかけられた。
「こんにちは」
ボクも挨拶を返した。今度はきちんと声が届いた。

「650万年前、金星より地球の霊王として天降り地上の創造と破壊を司る護法魔王尊が奉安される」なんとも、なんだってー、な、トンデモいわく付きの魔王殿を、サラッと拝んだだけで、あのコは立ち去って行った。

休憩する間もなく、先を急げるくらいには体力があるんだなって、安心し、虫養い程度にかりんとうを小腹に詰め込んだボクは、もう一度境内を廻り、説明を読み尽くして「日本庭園の源流といわれる磐座」を後にした。

当然の如く、再びあのコとすれ違う。
「あっ、また出逢いましたね」
一本道なのだから、出逢うのは偶然でも運命なんかでもなくて必然である。
苦笑いが微笑みに見える程度には悪い意味でオトナに成ってしまったボクも、そのコと同じ程度には愛想よく挨拶を返していた。

貴船神社で思いがけずwifiが使えた。
市街地に出てから下山報告をしなければならないよなって思っていたのに、嬉しい誤算だった。ついでにFacebookを確認し、近況として今回の山行を手短にうpした。

「また、逢っちゃいましたね」
顔を上げると、これで何回目かの微笑むあのコがいた。

今日、三つ目の御朱印を頂いたボクは、東屋に佇むそのコの後姿を見ながら、奥社を目指した。そして、また出逢うことがあったのなら、今度はこっちから声を掛けようと思っていた。
しかしその後そのコと二度と出逢うことはなかった。

長々と引張ってしまったが、現実なんてそんな事で溢れている。そうそう、ドラマチックな物語なんて転がっちゃいない。そんな事もボクは経験から知っている。

食材
丸大フィッシュソーセージ70gx4 118kcal
柿ピー180g 828kcal
ピーナツかりんとう190g 889kcal
カルボナーラ250g 129kcal
こだわりのカレー210g 189kcal
ヴァッレ デル ソーレ カペリーニ500g
軟骨ソーキ250g 598kcal
沖縄そば120gサン食品
コーレーグース85g

くらま温泉
〒601-1111京都市左京区鞍馬本町520 TEL075-741-2131
■泉質 単純硫化水素泉
■効能 神経痛 リュウマチ 糖尿病 美肌 腰痛

■営業時間 10:00~21:00 露天風呂は冬季20:00終了
■休業日 年中無休(10月22日の営業はお問い合わせください。)
■入湯料 露天風呂コース 大人1,000円(12歳以上) 小人700円(4歳以上12歳未満)

遭遇:鹿x3

呑み:スタンド - a Jitensya - 新家 - チンタ

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