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高島トレイル參日目

高島トレイル壹日目
高島トレイル貳日目
高島トレイル參日目
高島トレイル肆日目

日程:2014/05/02-05(三泊四日)

ルート:行者山テン場(05:52) - 搦谷越(06:00) - 行者山(07:14) - 横谷峠(08:07) - 駒ケ岳(09:56) - 桜谷山(11:22) - 木地山峠(11:33) - 百里ヶ岳(12:49) - 根来坂(13:23) - 百里ヶ岳登山口(13:37) - おにゅう峠(14:16)
コースタイム:8h24min(休憩時間を含む)
山域:(駄口、海津、熊川)、饗庭野、古屋、(久多)


行者山:586m
駒ヶ岳:780.1m
桜谷山:824.5m
百里が岳:931.3m
距離:24.589km
累積標高:2,094m
天候:晴れ
気温:?℃
湿度:?%
目的:スルーハイク
単独行

今日の一日は、水汲みから始まった。
荷物をデポし、搦谷越へと下りた。
排水口近くの赤らみに嫌な感じはしたが、水なしで山へ分け入る訳にもいかない。再び浄水器を用い、1ℓほど浄化した。
これは次の水場までの行動水と予備水である。

苦行のような行者山を越え、横谷峠へ至る。下り口が解らずに下りすぎ、遥か上に見える道を目指し上り返した。

崩落により閉ざされた道。
取付きは何処だろうと、捜し求めた先、自然と足はそちらへと向いた。
その途中の崩れより湧き出す水を汲み、崩落箇所を乗越えるのはシンドイなと、下に繋がる道に戻ってみた。
そこに有った入山ポスト。そしてその登山口を上った。

入山してすぐに下山して来るパーティに出会う。
「何処からですか」に国境からと答え、
「この先、水場はありますか」ってのに、すぐこの先の道沿いの崖崩れしている処で湧いてますよって教えた。
他に諸々の会話を交わし、短い逢瀬を過ごす。
二日振りの会話。いつもながらに孤独な山行のアクセントだ。
少しばかり勢いがつく。

駒ヶ岳の美しきブナ林を抜ける。
やはりブナの美しさは、晴天の背景が有ってこそのものだと思う。昨日とは打って変わって脚取りが軽い。物理的に1kg以上軽量になっているってのも有るのだろうけれども、やはり色鮮やかな景色に包まれる爽快感ってな精神的面が大きいのだろう。

桜谷山の急坂を登っていると、背後から近寄る影を見付けた。
カラフルな服装。トレランの人だろうと、山頂にて先を譲ろうと待った。
そして認めたキャノンボールTシャツ。
「キャノンボールに参加された方…あ、知ってる」不必要に無礼な言葉を吐いた。
「みっちゃんさんですよね」パルくんだった。

高島トレイルを通しで走りたくて、二の谷山から試走してきたのだと云う。それより前のルートは、以前、走ったそうだ。

「思ったよりもキツイですね、通しで24時間くらい掛りそうです」
まさかそこまでは掛からないだろう。この路を「かっちん」は15時間で走り抜けている。

「バスの時間に間に合いそうもないので、地蔵峠で判断し、タクシーを呼びます」
車を置いてきているので、取りに帰らなければならないそうだ。
「頑張ってください」走り去るパルくんの背中に声を掛けた。

木地山峠、右手の谷をウロつくパルくんの姿を見つけた。木地山峠以降ロクな水場がないようなので、そこで汲んで行きますと云っていたのだが、その湧き処が見つからないようだった。そこでボクは、左手の谷を進んでみた。湿り気を帯びた空気に、ありそうだなって思った。峠へ戻り、パルくんを待つ。
公式マップに依ると右手が3分で左手5分とあるから、右手へ下ったのだが、見つからないと彼は嘆いた。そこで二人、こっちなら有りそうですよって、左手の谷を下っていった。

5分に満たない時間で沢を見つける。安堵の息を吐いた。ふたりとも沢水を飲めるだけ飲み、汲めるだけ汲んだ。
そして再び別れを告げ、再び独り旅が始まった。

改めてこの先の計画を立てようと、高島トレイルのパンフレットを開いた。
そもそも、標高931.3mの百里が岳に上り、根来坂を下って、おにゅう峠を越え、ピーク803mの次にあるナベクボ峠が今日のテン場の予定だったはずだ。しかし、おにゅう峠に書き添えられた「展望雄大、雲海名所」の文字に惹かれ、アッサリと変更する。なんたって「おにゅう峠」は、昔スノーハイクに来て、デブリにビビり、吹雪に巻かれ、半分も登れずに敗退した因縁の場所だった。

再び美しきブナ林を抜け、百里が岳の眺望を楽しみ、アッサリと根来坂峠へと到着した。お堂の前には一張くらい行けそうな平場があった。おにゅう峠まで10分0.7kmとあるここも、今夜の候補地の範囲内だった。

お堂の横から斜面を上がる踏み跡と、もうひとつ、いかにも多くの人に踏み固められて歩き易そうな路が続いていた。おにゅう峠は下に見える車道の先だからと、そこにより近い斜面の踏み跡を辿った。しかし、ふっと思い直す。700mを10分ってのは、山道のコースタイムじゃないぞと。どちらを辿ってもおにゅう峠へと繋がっていて、下の遊歩道的な路の方が早く付けるのでは、って判断し、進路を変えたのだった。

これだけの重量を背負っていても走れそうなほどに整えられた路を、ここなら張れるなって場所を選定しながら下って行った。そして700mにしては長すぎるよなって思い始めた頃、車道へと出た。そこでGPSの標高を確認する。画面に表示された数字は780m。パンフレットには820m、とある。誤差にしても酷すぎる。地形図を出し確認していると、先ほど抜いてきた男性二人と若い女のコのパーティが追いついて来た。彼らはボクの横を通り過ぎ、遠方を眺めながら、山々を同定しているのか、新緑を愛でているのか、なにやら話し込んでいた。その傍らのボクは、この道路退避帯でもいけそうやなって思っていた。

「何処まで行かはるんですか」
リーダーらしき人から声を掛けられる。
「高島トレイルを辿ってまして」
とつとつと語る。
「そんな格好やと思ってましたわ。私たちは石楠花を見に来たんやけどサッパリで、おにゅうに戻りますわ」
そういい残し、車道を上って行った。
やんわりと「道、間違えてますよ」と伝えてくれたのであろう。ボクは小浜市へ下りる路を辿っていたのだった。

おにゅう峠まで上がり、地蔵堂の裏に絶好のテン場を見つけた。時刻はまだ二時を回ったばかり。太陽は燦々と照りつけている。これ幸いとフットプリントを広げ、結露で湿ったシュラフとテントを干した。

「ここで泊まらはるんですか」
斜面でお弁当を楽しんでいた夫婦に声を掛けられる。
「雲海を観たいと思いまして」
後から来た人が先へ進んで行く中、ボクは答えた。
「今、シーズンやないけど」
「今朝、冷えとったから出ていたで」
ご夫婦間での会話。
「ウチら此の下の集落のものなんやけど」
言葉を繋ぐ。
「ここからでも見られるけど、反対の方が綺麗ですわ」
「少し下ったところがよく写真に撮られるところで」
とお勧めのロケーションも教えてもらった。

ポカポカとした陽射しの中傾けるウヰスキーはことのほか気持ちよく、iPodを充電しながらいつしか眠ってしまっていた。

稜線に日が隠れる頃、肌寒さで目覚めた。
アプリを起動したままのiPodは、外部バッテリーを使い果たし、それ自身も8割程度まで減らしていた。
痛恨のミス。クマ鈴代わりに音楽を流し続けていたiPodは、日に2回充電しなければならなかった。明日からそれは、不可能だった。最近「No Music No Climbing」なボクは、それだけでヤル気を無くしてしまっていた。
テントを張る気力すら失い、地蔵堂にシュラフでごろ寝を決め込んだ。

日が暮れ、どれ位時が過ぎたのだろうか。チラチラと辺りを照らすライトに目が覚めた。なにやらゴソゴソと音が響く。誰か来たようだが当然挨拶を交わす気力すら無くて、再び眠りについた。

尿意に目を覚ます。石碑の前に張っているらしい。地蔵堂の裏に張ればいいのになって思いながら、斜面の下に放尿した。

頭上でうねる風音は響きを増し、木々の梢を大きく振るわせた。
そういえば、明日は昼から雨が降るってラジオから流れていた事を思い出す。顔にポツリと冷たいものが落ちた。やがてそれは風に煽られ、シュラフを叩き出す。それを避けるようにボクは、どんどん、お堂の奥へ奥へと移って行った。

遭遇:パルくん

呑み:おにゅう峠

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