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6月, 2014の投稿を表示しています

住吉川水系大月谷川西山谷遡行

日程:2014/06/25(日帰り) ルート:住吉台 - 住吉道 - 石切道 - 住吉霊園 - 渦森台 - 西山谷 - 六甲ケーブル山上駅 - 油コブシ - 六甲ケーブル下駅 コースタイム:05h08min 距離:16.115km 累積標高:1,047m 天候:晴れ 気温:?℃ 湿度:?% 目的:沢 単独行 尾根筋の日射しに怒りを覚える季節がやって来た。 まだ先の話になるが、イトーさんとの沢登りも控えているから、脚慣らしもしなければならない。だから沢に行く。 当初、比良に一泊二日で計画していたのだが、前の晩に飲み過ぎて、近隣の沢を一泊して蛍鑑賞でも愉しもうと変更した。だがそれもまた、日帰りへと変わる。6月末で期限の切れる阪急の回数券を、どう上手く使えばいいかを検索するうちに夕方を迎えてしまったからだ。 回数券の件は、別の機会に利用するとして、歩いてアクセス出来る五助谷に決めた。五助谷なら今の時期でも入渓さえしてしまえば藪もないし、下りに五助山を使えば放ったらかしにしてしまっているヨーコちゃんとの山行のメドも立つ。 住吉道から石切道に入り、五助谷の取付きに出た。踏み跡を覆い隠す様に下草が伸び、知らなければそれに気付くこともないだろう。 キイチゴをふたつばかり摘み、口に含む。微な酸味と甘味があるが、青臭さが鼻に抜け、あまり美味しくはない。 腰を越える藪を漕ぎ進むが、茨の茂みに阻まれた。剥き出しの脛に赤い筋が走り、僅かばかり血が滲んだ。足元を見れば、この暑さでもしぶとく蝶に変態しない肥え育った毛虫が、ボクの払う枝葉の上から恨めしそうに見上げる。藪漕ぎ用に脛をガードするコンプレッションタイツも、行く手を遮る蔦を払う鉈も持ち合せていないボクは、早くもこのアプローチで戦意を喪失していた。かと云って、山行計画を提出しているというのに、装備不足で沢に行けませんでしたなんて、カッコ悪くて報告出来ない。代りを探すにしても、大月地獄谷や水晶谷の藪はここよりも更に酷いコトは明らかだった。 だから西山谷にした。そこなら沢から抜ける僅かな距離の藪漕ぎで済むはずだったからだ。 渦が森の取付きより入渓する。時刻はいつの間にか昼前になっていた。 軽量化にもなるしと言い訳して、コンロに火を入れて素ラーメンを作る。沸騰を待つ間、他の登山者にも抜かれ、挨

鋸山

日程:2013/08/17(日帰り) ルート:浜金谷駅14:31 - 鋸山登山口14:46 - 観月台14:56 - 日本寺15:38 - 山門16:30 - 保田駅16:55 コースタイム:2h24min 鋸山:329.4m 距離:?km 累積標高:?m 天候:晴れ 気温:?℃ 湿度:?% 目的:朱印 単独行 前日に最高気温40℃にも及ぶ甲府の街外れをウロウロうろつき廻ったツケで、キッチリと熱中症になっていた。それでも鋸山くらいの低山なら大丈夫だろうと、浜金谷の駅を降り立つ。 駅のホームからは驚異的なほどにそそり立つ採掘跡の絶壁が眺められ、鈍い頭痛が断続的に続くにも拘らず、山行意欲を湧かせるのだった。 途中、観光案内所「石の舎」でルートマップを頂く。それを見ながら安兵衛井戸と沢のコースから東の肩を目指し、地球が丸く見える展望台経由の日本寺行きと計画を立てた。沢沿いなら少しは涼しいだろうし、メボシイ箇所は一通り回れそうってのもあった。 人の流れから外れ、沢のコースへ向かう。しかし、今の体調では歩き通せるかどうか、ふと不安になり、最も短い距離で日本寺にたどり着ける関東ふれあいの道コースへと日和ってしまった。 それでも長い階段は体温をすぐさま上昇させ、観月台で息絶え絶えとなり、岩舞台方面への分岐でゲロを吐いた。 それでもなんとか日本寺北門下の休憩所で息を整えて、もうひとつの目的でもある日本寺に辿り着いたのだ。 北門前には外国人観光客がたむろし、そそり立つ磨崖仏を見上げ、集まっては写真を撮り、係の人にカタコトの日本語で案内を求めていた。 ボクはその停滞の間に日陰で涼を取り、汗を引かせ、呼吸を整えた。 山門で入山料を納め、納経所の位置を訪ねた。鋸山山頂に行く体力はなかったけど、御朱印だけは頂きたかった。 山門での停滞が良かったのかもしれない。歩き始めると山頂展望台へ向かうぐらいの気力を取り戻していることに気付く。わずかばかり上っただけでも吹く風は涼しさをもたらしてくれる。二度と見たくなかった陽の光射す木陰のない階段を上っていく。 採掘跡の切立った絶壁の上に立つ。標高400mにも満たない山だが、その人工的な高度感に眩暈を覚える。遠く遮るものなく、眼前に山々のつながりが拡がるのも、本当の高さ以上に高く思わせる要因だろ

鞍馬山

金毘羅山 天ヶ岳 鞍馬山 日程:2014/06/17-18(一泊二日) ルート:鞍馬寺仁王門 - 由岐神社 - 本殿金堂 - 背比べ石 - 魔王殿 - 貴船神社 コースタイム:About 3 hours 鞍馬山:584m 距離:?km 累積標高:?m 天候:雨 気温:?℃ 湿度:?% 目的:朱印 単独行 鞍馬温泉はまだ準備中だった。開店は一時間も先だった。そんなには待ってられないと、鞍馬寺参拝に予定を変えた。 朱印帳を忘れてきた。だけど買えるだろうと思った。 思った通りに由岐神社に朱印帳が並んでいる。しかし本日御朱印出来ませんと、貼り紙がある。それでも朱印帳になら記してあるだろうと思い、ベルを鳴らした。全てがボクの失敗を補うかの様に、出来過ぎだった。 朱印帳に鞍馬寺が加わった。 未だ雨は強さを増すことさえなかったが、どれだけ待とうとも止みそうにもなかった。 それは二十年前の失恋の傷痕のように、痛みこそないが、決して消えない痒みを伴う疼きの様に、ボクに降り注ぎ続けていた。 奥の院への参道へ入り、涸れている息つぎの水の説明を読むために立ち止まる。 ふと、後ろから着いてくる女性の姿が目についた。遠目には、その服装から20代の少女の様にも見えたし、膝に手を置き息を切らせる姿から70過ぎの老婆の様にも見えた。あんなにヘトヘトで大丈夫だろうかと不安になるくらい、体力がないってことだけはわかっていた。 背比べ石で休憩を摂る。あの女性が20歳の少女か、70歳の老婆か、確かめてみようってイタズラ心からだ。 随分と待っていると、誰か登ってくる気配がした。 しかしそれは、スラックスにYシャツ姿の男性だった。 この雨にあの体力だ。諦めて引返したのかもしれないと、袋に残った柿ピーを口の中に流し込み、イヤホンを付けて音楽を流した。そして顔を上げると、そのコがそこに立っていた。そのコというぐらいには若いコだった。 「コンニチハ」の形を唇はなぞった。しかしDavid Guettaに遮られたその声は、ボクには届かなかった。気まずげに頭を下げたボクは、立去る動作を妨げることも出来ずに駆け下りて行った。 鞍馬山に登るのは、昔付き合っていた彼女とのデート以来だった。 ふたり、貴船川に並ぶ川床を眺めながら貴船神社を目指し歩く。 道

天ヶ岳

金毘羅山 天ヶ岳 鞍馬山 日程:2014/06/17-18(一泊二日) ルート:ロッククライミングゲレンデ - 三壺大神 - 翠黛山 - 寂光院道 - 天ヶ岳 - 三又岳 - 薬王坂 - 鞍馬温泉 - 鞍馬寺 コースタイム:03h14min 翠黛山:577m 天ヶ岳:788m 距離:11.906km 累積標高:812m 天候:曇りのち雨 気温:?℃ 湿度:?% 目的:テン泊 単独行 朝食を作りながらラジオを聴いていた。 DJは、知りたくない人はしばらく耳を塞いでおいてくださいね、と前置きし、ワールドカップの結果を告げた。それからサッカーに纏わる歌を数曲流し、天気はくだり坂ですので傘をお忘れなく、で番組を終えた。 朝食はソーキそばだった。 インスタントラーメンを詰めてきたつもりだったのに、沖縄で買った沖縄そばに軟骨ソーキのレトルト、そしてコーレーグースが入っていた。 慌てて色々と忘れてきたのに、なんとも完璧な品揃えだ。 軟骨ソーキのレトルトを温めた湯でソーキそばを茹でる。 「生麺ですのでお早めにお召し上がり下さい」の文字が目に入り、カビてやしないか、腐ってやしないかと確認するが異常はなさそうだった。賞味期限は二ヶ月も前に過ぎているけど、ナンクルナイサーだ。 今ならまだ、ソーキ入りパスタに変えることも出来たのだが、不思議とそんな気持ちは湧いてこなかった。それは無意識のうちに完璧な仕事を済ませていたボクへの敬意みたいなものだった。 二分半から三分と書かれた湯で時間を、四分半まで延長して茹でたのは、念入りに加熱殺菌するためではない。乾燥が進み、中々茹で上らなかったからだ。 ドロドロの茹で汁に粉末のスープを溶かす。少し冷めた軟骨ソーキを乗せ、タップリとコーレーグースを振った。もちろん、アルコール消毒の意味合いを込めてだ。 朝食を終え、撤収作業を済ませても、空は薄曇りに明るくて、天気予報は珍しく良い方に外れたのかもと思った。それならそれで雲取山まで足を伸ばしてもいい。どっちみち、そっちへ行くにしたって、天ヶ岳山頂近くまでは行かなければならないのだから、今はまだ直ぐに決める必要なんてこれっぽっちもなかった。 歩き始めてすぐに、跡形もなく崩壊した三壺大神の社に出逢った。いかにも山頂風な様相を呈しているのだが、三

金毘羅山

金毘羅山 天ヶ岳 鞍馬山 日程:2014/06/17-18(一泊二日) ルート:瓢箪崩山登山口 - 八塩山 - 瓢箪崩山 - 寒谷峠 - 江文峠 - 琴平新宮社 - ロッククライミングゲレンデ コースタイム:02h21min 瓢箪崩山:532.4m 金毘羅山:572.8m 距離:6.877km 累積標高:788m 天候:曇り 気温:?℃ 湿度:?% 目的:テン泊 単独行 GWからこの方、全然さっぱりテン泊してへんなあって、何かしらパラパラくる梅雨時やから仕方がないかなあって、だけど行きたいなあって、だからなんとか天気が保ちそうなその日に、無理矢理今回の山行を計画した。 行先は京都方面に決まっていた。 片岡くん達が通うクライミング教室を冷かし、チョロっと立呑んで行くとなると、必然的にそうなるのだった。 仕事前に荷物を慌てて詰込む。だからいつも通りに忘れ物をする。仕方なしに足りない物をリストアップする。最後にそれを100均で買う。 そうして準備万端で、吹田は目俵を目指した。 晴れなはずの天気予報はいつしか雨に変わっていた。夜更け過ぎから翌日の昼間で降るのだと云う。それなら雨が上がるまでテントに引き篭るのもアリだと思った。 だから文庫本を二冊購入した。食糧も二日分用意した。行動食は三日分に成った。全てが、特に行動食が無駄な重量だった。 サクッと立呑んで、シュッと京都を目指すはずが、豊中勤労者山岳会の家呑みに加わり、そこで腰を据えてしまい、山の裾野にたどり着く電車などは最早なく、山に登ってテントを張るにはとてもやないほどに酔い過ぎてしまっていた。 出端を挫かれると、どうも調子が出ない。 どうせなら昼メシを食べてから行こう、とか、折角だからWILD1でも冷かしていこうか、といった具合にダラけてしまう。そんな感じで結局取付いたのは14時を大分廻った頃だった。 登山口より登り始めてすぐに、登山道を整備する老人に出逢う。 挨拶を交わすと、何処で泊りはるのかと聞かれた。 金毘羅山を越えて、何処か適当なところでって答えてみる。 「ワシもテントを担いで何処かで泊まってみたいなって思ってましてな」作業の手を止め、そう話し始めた。 「それに一式入ったはるの」 「ええ、テントにシュラフ、コッヘルとストーブに二日分

ポンポン山後編

日程:2014/03/06 ルート:阪急東向日駅 - 小塩山十輪寺 - 西山三鈷寺 - 西山善峯寺 - ポンポン山 - 北山本山寺 - 根本山神峯山寺 - 阪急高槻駅 コースタイム:?h?min ポンポン山:678.7 m 距離:? 累積標高:? 天候:晴れ処により吹雪 気温:?℃ 湿度:?% 目的:朱印 単独行 ユックリと十分な時間を掛けて境内を回る。最後に訪れた奥ノ院の先から、ポンポン山へは行けないかと、抜道はないのかと探し彷徨い、そして行けないなと諦めた。 再び北門を潜る。そして再び三鈷寺へ戻った。雪は再びちらほらと降り始め、またもや周りの彩度を下げていく。 そして、奥ノ院のその先の開かなかった扉の傍らを抜けて東海自然歩道へ差掛った頃には、またもや色無き吹雪舞う世界が広がっていた。 霞む山を見上げ落胆していたボク。それを救済するかのように、イットキの絶景を眼下に納めた善峯寺。それこそ、観世音菩薩の大慈大悲としか思えなかった。それこそが、あまりにも神懸り(観音懸り?)な出来事だった。 山間の集落を抜けて山路に入る。雪の勢いは更に増し、10m先も朧げに霞む。 またもやの雪山山行。降り積もった雪の何処にも足跡が無いのは、誰も通らないからではなく、それだけ風雪が激しいってことの証だった。 人気ルートなだけに平日でも幾人もとすれ違う。当然、その先に足跡が刻まれてはいるが、それもわずか数十mも進めば消えていた。 谷間の路を越え、ポンポン山の尾根に上り、釈迦岳への分岐を過ぎた。 突如として辺りは急激に明るさを増し、頭上には青空が拡がる。 そしてそれは、ポンポン山の山頂まで続いていた。 一度は諦めた山頂からの眺望が、思いかけずもボクを出迎える。 先ほどボクを取巻き、ボクを陰鬱にさせた黒と云う程には暗くない雪雲は、奈良だか京都だかとの県境に連なる山々の裾野へ、それはもう、諦めと例える他ない程に黒く棚引き、その下に更に絶望のように黒々とした靄を引き摺っていた。 そこから先の、憂いるモノがスッカリ去った後のボクの山行は、何も心に病むこともなく、快適な歩みとなり、軽やかなものとなっていった。 本山寺境内を抜ける。その先の神峯山寺まで至る参道は、憎っくき第二名神高速道路の工事で通行禁止となっており遠回りし、そこが真の

ポンポン山前編

日程:2014/03/06 ルート:阪急東向日駅 - 小塩山十輪寺 - 西山三鈷寺 - 西山善峯寺 - ポンポン山 - 北山本山寺 - 根本山神峯山寺 - 阪急高槻駅 コースタイム:?h?min ポンポン山:678.7 m 距離:? 累積標高:? 天候:晴れ処により吹雪 気温:?℃ 湿度:?% 目的:朱印 単独行 前々から幾度となく行こう行こうと思っていたポンポン山。 なんだかんだでなかなか行けてなかったのだが、この度、何とはなしにあっけなく行けてしまった。 特に早く起きる必要もなく、むしろいつもよりも遅く起きたと云うのに、あっけなく行けてしまっていた。 結局のところそれは、今まであまり行く気がなかったってだけのコトだったのかもしれない。 はじめは高槻から上がるつもりだった。いつだってそうだった。でもそれは一度として成し遂げられていなかった。 そして今回は東向日より上がることにした。それは、ごくごく簡単な理由だった。十三まで座り眠り就いた各停を乗り換え、通勤特急に乗る。そして長岡天神で再び降りて、また、各停に乗るだけだ。 時間にして一時間半。西北で特急に乗れば更に早い。でもかつては、そこが遥か遠い地に思えていた。 目覚めると九時過ぎ。もうダメだと思った。用意に手間取り、既に十一時。六甲山にしておこう。いつだってそうだった。でもポンポン山はボクが想像するよりも遥かに近かった。 駅前に一台のバスが停まっていた。「洛西バスターミナル行」あと数分で発車する。 「 灰方 」まで行けば確かに近づけるようだが、と地図を開き思案するうちにアナウンスと共に扉は閉ざされた。 「 善峯寺行 」までは30分時間がある。それだけ待つのなら歩いてもそれほど変らないのではないか、とバスを追いかけた。追いつかれたらそれに乗ったって良かった。 途中、コンビニがあれば山行計画を流したいってのも有ったし、実際、在ったから、まあ結局、結果オーライだ。 街を抜けるとすぐに、だだっ広い田畑がそこに広がっていた。その単調な広がりに、色を添えるように雪が舞い始めた。もちろん、遠く山は白煙に包まれていた。 今季は雪山に行けないので低山ばかり選んでいるというのに、何処に行こうと、いつ出向こうと、コトゴトク雪に縁がある。なんとも困ったもんだ。 降り頻る雪

山上ヶ岳

十津川水系川迫川モジキ谷遡行(初日前編) 十津川水系川迫川モジキ谷遡行(初日後編) 十津川水系川迫川モジキ谷遡行(二日目) 稲村ヶ岳 山上ヶ岳 ルート:モジキ谷取水口 - モジキ谷 - 稲村ヶ岳尾根 - 稲村ヶ岳 - 大日山 - 稲村小屋 - 山上ヶ岳 - 大峯山寺 - 宿坊 - 大峰奥駆道 - 吉野 コースタイム:?(休憩時間を含む) 稲村ヶ岳:1726.1m 大日山:1689m 山上ヶ岳:1719.3m 小天井ヶ岳:1211m 大天井ヶ岳:1438.9m 四寸岩山:1235.8m 青根ヶ岳:858.0m 日程2012/07/14-2012/07/15(一泊二日) 距離:?km 累積標高:?m 天候:晴れのち曇り 気温:? 湿度:? 目的:朱印 単独行 山上ヶ岳のお花畑で目を愉しませ、大峯山寺で朱印を頂いた。 納経するコトも今回の目的の一つであったからだ。 本堂の側に焼印処があるのが気になるが、誰もいないようだった。もちろん、杖を持ってきてなどいないから、何の遣り様も無いわけだが。 吉野へ下る路を探す。境内の外れに、柏木を指す標識を見つけたが、そこには吉野方面は示されていなかった。 宿坊前まで行き、山と高原地図ではその先に路は無いように記されているよなと本堂まで戻り、お花畑に戻ってはこちらも違うよなと思い直した。 地図も案内板も全くアテにならないのなら、宿坊で聞いてみようと、連なるそれらのひとつに入る。そして缶ビール(350ml ¥500)を買い求め、酒での与太話な態を装って吉野への路を訪ねた。 「そこから、あっちへ行けばいいですよ」的なものを期待していたのだが、予想外に話好きだったお坊さんは、簡易な地図まで用意して、その先々まで事細かに説明しだした。 「本来なら」 彼はそう前置き、言葉を繋いだ。 「途中の小屋で泊まっていきなさいと言うところなのだけれど」 和かに続ける。 「モジキ谷を登ってきてこの時間にここに着いているんだったら、大丈夫でしょう」 先達より、お墨付を頂いた。 もちろんボクは、日が暮れる前に着くことを疑ってさえもいなかった。 行場案内図を折畳み、微に細にいった説明にも御礼を述べて、宿坊を後にする。 あれだけ丁寧な説明を受けながらも、行ってはいけないと