スキップしてメイン コンテンツに移動

ササ原の美しき稜線 剣山~三嶺縦走(3rd day of GW) 2018年04月27、28日

IMGP1406s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


山の夜は早い。

西の尾根に陽が陰り、窓から明りが差し込まなくなったころ、もはや誰も訪れないだろうと思い出したころに、小屋の戸を開ける人影が差した。
香川からやってきたと云う方との会話を切り、そちらに眼をやる。
そこには穴吹から同じバスに乗っていたであろう、眠気に任せほとんど見ずに虚ろに眺めていたその姿があった。

「同じバスでしたよね」声を掛けられる。記憶は確かだったのか、と思い、肯定の言葉を返した。

香川の方は、三嶺から登り、剣山へ向うのだと言う。同じバスだった女性は、三嶺を越えて名頃へ下りるのだと言った。
ボクは綱附森へ登り、アリラン峠を越えて矢筈山に登り返して、京柱峠へ下る予定にしていた。
しかし今日の天候の悪さからその気はとっくに失せてしまっていた。三嶺の山頂を踏んだら、もう下りてもいいと思い直してさえ、いた。
それでも、そう思っていても、さも他のルートも知っておきたい態を装い、それこそ、その他のルートの状況やバスの時刻などを聞きだすのだった。


山の夜明けもまた早い。

前夜の予告通り、夜明け前から旅立ちの用意をする気配があった。
バスに間に合うように、歩みが遅いから早めに旅立つ予定ですと、聞いていた。昨晩の交流の中で聞いていた。

でもボクは、夜明け前に行動する気などさらさらないので、ストーブの燃焼音が響くなか、再び眠りについた。

小屋の中がほのかに明るくなりだして、ようやくボクは起きだす。そろそろ起きてもいいかも、と思い始めた。
火を使わなくても済むような味気ない朝食をすまし、早朝の景色を眺めに小屋を出る。

「明日は晴れる予報ですよ」
スマホを持たないボクに、香川の方は言った。好天の笹原を歩きたいがために引き返そうか、と云うボクの言葉を真に受けてか、それを否定してか、そう言ったのだった。

「ここから先も笹原歩きですよ」
そう言った。ボクについてきて欲しくないようにそう言った。三嶺方面へ促すように、そう導くように、冗談のようにそう語った言葉に、そう返された。

確かにこの先にも素晴らしき笹原が広がっていた。引き返さずにもそこを歩んでいた景色程に、同じく美しき笹原が広がっていた。永遠と思える程にそれは続いていた。

その素晴らしき風景を抜けて、それ程素晴らしくもない下山路を辿り、何らかの復旧作業中の林道らしき道を歩み、いきなりバス停の前に出た。

そこに、一夜を共にした女の子がいた。名頃のバス停に降りると言った、彼女がいたのだった。
乗換の久保のバス停で再び遭遇したのだった。名頃のバス停からバスに乗り、ここで乗り換えるのだそうだ。
行きしのバスでは一言も言葉を交わさなかった女性と、姿すらろくに見ようとしなかった彼女と、大歩危までの小一時間ほど、正確に言えば一時間と十分、行きしのバスで話さなかった時間を埋めるかのごとく、言葉を交わし続けたのだ。

その娘は香川の友達の元を目指して、ボクはお遍路を再開すべく高知を目指す。ボクの教えたうどん屋を目指して讃岐に向う彼女と別れて、二日ぶりの入浴を求めて土佐の銭湯を目指した。

そんなボクのGWの前半。前半戦。前哨戦。戦うボクの、ボクの弱さと、小さきボクジシンと、自らと戦うボクの、GWの前半の3日間を、ここで終えた。


IMGP1241s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1242s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1244s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1255s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1257s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1263s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1265s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1269s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1275s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1282s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1284s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1286s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1291s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1304s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1307s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1314s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP1331s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP1339s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP1350s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP1358s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP1372s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP1379s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1386s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1388s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1389s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1391s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1395s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1399s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1400s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1408s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1411s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1418s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1423s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1427s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1437s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP1443s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1446s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1448s
PENTAX K-1 smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8


IMGP1459s
PENTAX K-1 smc PENTAX-DA☆ 200mm F2.8ED [IF] SDM


IMGP1460s
PENTAX K-1 smc PENTAX-DA☆ 200mm F2.8ED [IF] SDM


日程:2018/04/27-28(一泊二日)
ルート:白髭避難小屋0553 - 韮生越0619 - カヤハゲ0628 - 三嶺山頂0714 - 大タオ0756 - 西熊山0824 - お亀岩0843 - お亀岩ヒュッテ0902 - 天狗峠0927 - 久保分岐0932 - 天狗塚山頂0948 - 久保分岐1008 - 1476m地点1035 - 天狗塚登山口1052 - 林道阿佐名頃線(西山林道) - 久保バス停1214
コースタイム: 6h.21min (休憩時間を含む)
剣山 1,955m 日本百名山
次郎笈 200m
丸石 1,683.8m
高ノ瀬 1,740.8m
平和丸 1,700.8m
三嶺(みうね/さんれい) 1,894m 日本二百名山 四国百名山
天狗塚 1,812m 四国百名山、とくしま88景選定

地形図:剣山、北川、久保沼井、京上

距離:17.35km
累積標高:?m
天候:快晴
気温:?℃
湿度:?%
目的:剣山三嶺縦走
単独行

四国交通バス 久保 - 大歩危駅 ¥1,240
JR大歩危 - JR高知 ¥1,280

高砂湯¥400

歩危マート2号店(大歩危)★★
焼鳥せいわ(高知)★★★

コメント

このブログの人気の投稿

トゥエンティクロス終了のお知らせ

ルート:上野道取付 - 展望広場 - 掬星台 - 摩耶ビューテラス702 - 桜谷道 - 徳川道 - トゥエンティクロス - 新神戸 コースタイム:4h 55min(休憩時間を含む) 掬星台:692m 距離:?km 累積標高:?m 天候:雨一時豪雨 気温:? 湿度:? 目的:水遊び 単独行 「20+エライ事になっとうで」 シンちゃんからそう聞いたからには、そこに行かないわけにはいかなくなった。 何でも二十渉は、ここ連日のゲリラ豪雨により底なし沼と化しているそうだ。そして、そこで、クツを脱ぎ、膝まで砂に浸かり、腰まで沈み込んだところでようやく諦めて引返したという。 ナントカっていう動画(酔っ払っていたから何回も聞いたけど忘れた)で、底なし沼からの脱出方法を観ていたから大丈夫やったけど、知らんかったらホンマにヤバかった。先ず片脚を抜いて腹這に横たわり、腕を広げて沈み込まないようにしてもう片方の脚を引き抜くねん、なんて嬉々として語る。 それならボクはその先まで行ったろう、とその先までますます行かないわけにはいかなくなったのだった。 甲山へ走るというみんなとは別に二十渉を目指した。 始めは長峰から桜谷を抜け徳川から二十渉へ向おうと思っていたのだが、昨夜の2時過ぎまでの酒によるダルさと朝から降りそぼる雨に嫌気がさし、12時過ぎのスタートの上野道上りとなった。 「上りの報告と下山の報告は、ちゃんとしてや」の約束を守り、FBに入山届を上げた。 展望広場では早々に朝食兼昼飯となるガーリックトマトパスタを食す。 降り濡つ雨を避け、掬星台の702でビールを傾けながらFBに応える。そんな束の間の休息のうちに、雨脚は一際激しくなっていた。カウンターからソファーへ移り、ホットドッグにドリンクバーを追加した。そしてドッシリと腰を据え、宇宙兄弟を紐解いた。 もう帰ったろかなってのが正直本心だった。しかし、雨も小降りになった事だし、宇宙兄弟もアニメに忠実(アニメが漫画に忠実の間違い)でオモロかった事やし、気を取り直して、濡れそぼつ気にもなったわけだ。 雨の桜谷は、晴れの日よりもむしろ好ましかった。木に降り注ぐ雨が枝を伝い集まり、洞よりほとばしる様を眺めたり、路行くひとの歩みにより削り磨かれた窪みを、あたかもそこが滑床であるかのよう...

紀ノ川水系下多古川 本谷遡行 一日目 2020年6月6日

六月も初めだというのに全国各地で真夏日をたたき出す猛暑が続くなか、これはもう沢だな、と沢装備を整え出社する。 沢足袋のフェルトを張替えていなかったなと、石井スポーツで草鞋を買って大峰を目指した。 「関西起点 沢登りルート100」が見当たらないのでネットで適当に遡行図を探すが途中までのものしか見つからない。 初心者向けの容易な沢で登山道も沢筋に付いているみたいなことが書かれているから、オンサイトで大丈夫だろうとろくに情報も集めずに旅だった。 これがまたえらい苦労する羽目になろうなどとは何も知らずに。 沢沿いに今なお残る集落を抜け川をまたぐと一軒の建物が目についた。 確か川を渡ってすぐぐらいのところが取付きだったよな、うろ覚えの遡行図を思いだし、簡易浄水場の横から続く踏み跡をなぞって入渓した。 朽ち果てた取水口を越えるとすぐ、滝に出会った。 沢足袋に履き替え、草鞋を結ぶ。妙に鼻緒が短くて履きにくい。 念のためi-padで遡行図を確認する。6mの斜瀑(F1)とある。確かに6mくらいの高さだが、斜瀑というかふつうに滝だ。 直登できなくはないが、シャワークライムを強いられる。 思ったよりも気温が低いし日差しもない。入渓したばかりで体も温まっていないのに滝に打たれるのはいややなと、右岸の草付きを捲く。これが見た目以上に悪い。岩の上にうっすらと土がのり、頼りなげに草が生えている程度だった。 手掛かりになる樹根はおろか、幼木ですらほとんど手の届く範囲にはない。 それでも登れそうなポイントを探し、左へ左へとトラバースしていく。しかし、楽に登れそうなところは見つからず、心が折れた。 しかたがない。直登しようと緩んだ草鞋を結びなおした。 途端に鼻緒が切れた。ブチッとした手触りと共に、ボクの張りつめた気持ちも切れた瞬間だった。 取水口より手前まで戻り、今度は左岸を高捲く。獣道やもしれぬかすかな踏み跡をみつけ、たどる。 F1を越えて再び沢へ下りたいのだが、どれだけ探しても下りられそうなルートがない。捨て縄でも張れば別だが、戻ってこないので回収もできない。 下りられないのなら上を目指すしかない。どこかに登山道がついているかもしれないし、いっそ...

山カフェ、メニュー追加しました 2019年10月02日

Leica M8 Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 MC ビアレッティのブリッカを購入しました。 最初、極細挽きに挽いたマンデリンで淹れたのですが、いまいちでした。 粉っぽいし。 エスプレッソ用の豆を細挽きで淹れるといい感じ。 Leica M8 Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 MC Leica M8 Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 MC 日程:2019/10/02(日帰り) ルート:十善寺1309 - 一王山山頂1315 - 十善寺1401 コースタイム:0h 52min(休憩時間を含む) 地形図:神戸首部 距離:?km 累積標高:?m 天候:曇り 気温:?℃ 湿度:? 目的:山カフェ 単独行 高田屋旭店(水道筋)★★★★ チンタ(水道筋)★★★★