スキップしてメイン コンテンツに移動

金勝アルプス

十二坊
岩根山善水寺
阿星山
金勝アルプス
湖南アルプス

日程:2014/01/11-13(二泊三日)

ルート:道の駅こんぜの里りっとう - 金勝山金勝寺 - 馬頭観音堂 - 竜王山山頂 - 白石峰 - 耳岩 - 天狗岩 - 白石峰 - 茶佛観音線 - 瀬戸滝林道 - r16 - r12 - 東海自然歩道 - 太神山不動寺 - r109 - R422 - 京阪石山寺駅

コースタイム:6h21min(休憩時間を含む)

竜王山:605m
天狗岩:509m
太神山:599.7m
距離:?km
累積標高:?m
天候:雪のち曇り
気温:?℃
湿度:?
目的:アルプス縦走
単独行

肩の冷たさに目を覚ました。
夜通ししんしんと降り積もった雪は天幕を押し下げ、己が冷たさと共に夜の冷気を伝えに来ていた。
天幕を内から叩く。サーっと軽く流れる音が響き、空間が拡がる。未だ夜明けまでは程遠いが、雪明りに辺りが白む。中途半端な眠りを嫌い、再びアルコールで喉を焼いた。まだ覚め切らぬ酔いに、眠りへ誘う呼び水は効果的に働く。フォールディングカップに半分の量で早くも瞼は重たくなっていった。

再び降り積もった雪で薄明に気付かなかった。日は高く昇っているのだろうけれど、雪雲はそれを覆い隠している。雪は止みそうにもない。

コッヘルに湯を沸かし、ラーメンの朝食を摂る。便意を覚え、昨晩払った雪に埋れたシューズを探した。荷もそのままに便所へと急ぐ。ご同輩はその途中にテントを張っていたのだが、そこには跡形もなく雪が降り積もるだけだった。

ボクも急ぎ撤収を始める。
そしてこの寒さで凍てついたペグが、ストーブが、ストックが、あらゆる金属としっとりと湿った全てのものが、指先の凍傷に針を突き立てるような痛みをもたらした。
その痛みに耐えかね、手を摺り合わせ股に挟む。痛みは容易には去らない。泣き言を言ったところで、誰が助けてくれるわけでもない。
想定外の降雪に早くも心が折れる。地図を眺め、エスケープルートを探す。道の駅を通るバスは現在不通だって事は、昨夜にバス停の貼紙で知っていた。結局、金勝アルプスを越えないことには、帰ることすらままならなかったのだ。

初日に購入したゲイターを着ける。こんなに早く使う羽目になろうとは思ってもいなかった。
弥山川でも使ったグローブをはめる。凍傷に成った原因の一端を担った曰く付きだ。氷点下9度まで対応なのだが、既に凍傷に犯された指に効果はない。指先の毛細血管が死んでいるのだから自ら暖めようがないのだ。グローブに手を入れるが指は通さない。グーに握って掌の温もりを伝えなければ、いつまで経ってもこの痛みは和らがないのだ。

金勝山への登山口は、道の駅のすぐ目の前にあった。
金勝寺から馬頭観音堂までの道はひたすら車道だった。同じく、ここから金勝寺までも面白味のない舗装路が続いていると考えるべきだった。だから少しくらい遠回りになろうとも遊歩道を選ぶ。指先はまだ痛かったけれど、あと30分もすれば平気になりそうなくらいには回復していた。
予想通り、金勝寺に出る前に痛みは治まっていた。むしろ汗冷えを避ける為に幾度かグローブを外し、ポケットに手を突っ込んで歩かなければならないくらいだった。雪は相変わらず止みそうにもないが風はなりを潜め、気温も緩やかに上がり始めていた。

金勝寺を過ぎ、トレイルの取付きとなる馬頭観音堂に辿り着いた。その入口には入山禁止のロープが張られている。台風18号の影響により、途中の路が崩落しているのだそうだ。だが、ここを抜けなければバス道へも駅にも行くことが出来ない。それに実際、通行禁止の山道で通ることが出来ない何てことは、今まで数えるほどしかなかったハナシだ。

通行禁止って事もあるし、もちろん雪が降っているからそこには足跡ひとつなく、見渡す限り人の気配すら感じられなかった。白銀の穢れなき世界に足跡を刻んでいく。山頂付近まで登ろうともゲイターが必要なほどの積雪はなかったけれど、雪山用のダーンタフは、シッカリと自分自身の役目を果たしてくれていた。

Facebook用に雪山っぽい写真は撮れないだろうか。一見アルプスにでも見えそうな風景はないだろうかって、岩々を渡り歩き、岩綾をよじ登った。遠く琵琶湖にかけて厚く雪雲がたなびき、降り注ぐ雪は街並みを煙らせている。まあ、こんなもんかなって、とてもじゃないけどアルプスなんかには見間違えようもない写真を幾葉か撮りあげて、スッカリ指の温もりを取り戻し痛みを忘れた忘れたボクは、前回迷いに迷いまくってたどり着くことの出来なかった湖南アルプスを目指し、白石峰から茶佛観音線を下った。
途中、なるほどこれが崩落個所かって処を、別に危険な事なんかこれっぽっちもないよなって乗越えて、桐生辻のバス停に出た。
前はこの道を西へ歩き、何処から川を越えればいいんだろうって、湖南アルプスまでの路を探しながら取水口の橋を渡り、杣道を抜けて、稜線に繁る松に阻まれて引返したのだった。
ちゃんと前回の反省はした。遠回りでも東に向かい、東海自然歩道を辿る。それなら迷うはずはなかった。ただ、ひたすらに車道歩きをしなければならないってのだけが、ボクの気持ちをこの低く垂れ込めた曇天と同じく重苦しく沈めていた。

遭遇:山ガール

呑み:FM - チンタ - モンク

太神山不動寺

コメント

このブログの人気の投稿

南北ドントリッジ下見

日程:2014/10/08(日帰り) ルート:長峰霊園 - 摩耶東谷 - 山寺尾根 - 掬星台 - 桜谷道 - 徳川道 - 北ドントリッジ - 分水嶺越林道 - 布引道 - 新神戸駅 コースタイム:04h 04min(休憩時間を含む) 距離:13.179km 累積標高:1,054m 天候:晴れ 気温:? 湿度:? 目的:例会山行下見 単独行 例会山行のリーダに指名されたからにはヤラざるを得ない。もちろんやること自体は、ヤブサカデハナイ。 「山羊戸渡」を要望されていたのだが、なんかみんなに過大評価している感、満載なルートなだけに気持ちがどうにもこうにも盛上らない。 って云うか、かつてそんな多大なる期待を受けて連れて行ったのに、その数多過ぎる所期を満たすことなんてとても出来やしなくて、ガッカリルートに認定されたことからも気持ちが萎えてしまう。 結局、余り足を踏み入れないコースを案内しますよ、なんて言葉を濁す。とどのつまり「山羊戸渡」までのアプローチの長さ故にダレタ気持ちを、その先から続くひたすらシンドイだけのアルバイトに過ぎない行程を満足させられるだけの力量を持ち合わせていないってコトだけのことだ。 で、選んだのは、摩耶東谷から南北ドントリッジへと続くルート。 ボクは通常、摩耶東谷を辿る時は、日本三大廃墟として名高い「マヤカン」へと詰めるのだが、一応、立入禁止となっている個人所有の敷地へと不法侵入すべく皆を連れて行くわけにも行かず、かと云って摩耶東谷を通しても、最終的にシンドイだけの藪漕ぎになるので、少しはマシだろうと山寺尾根へ抜けるルートを選択した。 通常、ボクひとりで上るのなら、摩耶東谷を谷通しで行くのだが、同行者が居るとなるとそうも行かない。摩耶東谷より入渓し、堰堤を捲いたところで山寺尾根との分岐へと戻った。そこで堰堤工事を知る。この路へは立入禁止だと知った。 山寺尾根をそのまま辿り、途中の広場から摩耶東谷へ下りる路を調べた。だがそこも、人を連れて行くにはどうかなって、路だった。 だからボクは、谷通しで良いかなって思った。 谷を歩く内は涼しくて良かった。だが、一度沢を外れ尾根を伝うと、その急勾配ゆえに、晩秋とは云え、まだまだ激しく照りつける日差しゆえに、段々と消耗していった。 今日はとても暑い日で、リュックの重

紀ノ川水系下多古川 本谷遡行 一日目 2020年6月6日

六月も初めだというのに全国各地で真夏日をたたき出す猛暑が続くなか、これはもう沢だな、と沢装備を整え出社する。 沢足袋のフェルトを張替えていなかったなと、石井スポーツで草鞋を買って大峰を目指した。 「関西起点 沢登りルート100」が見当たらないのでネットで適当に遡行図を探すが途中までのものしか見つからない。 初心者向けの容易な沢で登山道も沢筋に付いているみたいなことが書かれているから、オンサイトで大丈夫だろうとろくに情報も集めずに旅だった。 これがまたえらい苦労する羽目になろうなどとは何も知らずに。 沢沿いに今なお残る集落を抜け川をまたぐと一軒の建物が目についた。 確か川を渡ってすぐぐらいのところが取付きだったよな、うろ覚えの遡行図を思いだし、簡易浄水場の横から続く踏み跡をなぞって入渓した。 朽ち果てた取水口を越えるとすぐ、滝に出会った。 沢足袋に履き替え、草鞋を結ぶ。妙に鼻緒が短くて履きにくい。 念のためi-padで遡行図を確認する。6mの斜瀑(F1)とある。確かに6mくらいの高さだが、斜瀑というかふつうに滝だ。 直登できなくはないが、シャワークライムを強いられる。 思ったよりも気温が低いし日差しもない。入渓したばかりで体も温まっていないのに滝に打たれるのはいややなと、右岸の草付きを捲く。これが見た目以上に悪い。岩の上にうっすらと土がのり、頼りなげに草が生えている程度だった。 手掛かりになる樹根はおろか、幼木ですらほとんど手の届く範囲にはない。 それでも登れそうなポイントを探し、左へ左へとトラバースしていく。しかし、楽に登れそうなところは見つからず、心が折れた。 しかたがない。直登しようと緩んだ草鞋を結びなおした。 途端に鼻緒が切れた。ブチッとした手触りと共に、ボクの張りつめた気持ちも切れた瞬間だった。 取水口より手前まで戻り、今度は左岸を高捲く。獣道やもしれぬかすかな踏み跡をみつけ、たどる。 F1を越えて再び沢へ下りたいのだが、どれだけ探しても下りられそうなルートがない。捨て縄でも張れば別だが、戻ってこないので回収もできない。 下りられないのなら上を目指すしかない。どこかに登山道がついているかもしれないし、いっそ

武庫川水系西ノ谷遡行

武庫川水系西ノ谷遡行 武庫川水系太多田川赤子谷左俣 日程:2014/07/02-03(一泊二日) ルート:親水広場1613 - 入渓1628 - 霞滝1635 - 桜滝1648 - 満月滝1716 - 尾根1741 - 大峰山1834 コースタイム:2h 21min(休憩時間を含む) 距離:? 累積標高:? 天候:晴れ 気温:? 湿度:? 目的:沢登り 単独行 表六甲の沢の汚さに嫌気が差し、武庫川渓谷なら少しはマシだろうと西の谷を目指した。ついでに裏六甲の沢を幾つか絡めるつもりだ。 家の用事を何かしら片付けていると、なんだかんだでいい時間になってしまっていた。 宝塚でJR(宝塚-武田尾¥200)に乗換え、武田尾の駅より廃線跡を辿る。 放置され風化するに任されたトンネルを二つ抜け、親水広場から櫻の園へと入る。その入口を流れる沢が西の谷だ。 先ずは「もみじの道」を辿り、すぐに出会す堰堤を越えてから入渓する。そこですぐさま身支度を整える。沢足袋に履き替え、ラッシュガードを着る。電子機器はジップロックなり、サラスパの袋なり、LOKSAKなりで包み、ORのドライコンプサミットサックなり、EXPEDなりに突っ込んで完全防水にした。 最初の釜に入り腰まで浸かった。身体に籠った熱が嘘みたいに引いていく。暑さに負けてビールや酎ハイ片手に歩いた街中の暑さが、幻だったかの様に思えてくる。 幾つかの小滝を越え、10m程度の滝(霞滝)に出会った。越えられそうな気もするが、メットをも忘れてしまった単独行なので自重する。そして、定石っぽい右岸のルンゼから上った。そこに掛けられた残置ロープを頼るまでもないが、あったらあったでそれは楽だった。 再び緩い斜瀑を幾つか越えていく。そして幾段かの滝で構成された大滝と出会った。下から見上げても、どこが滝口か定かではない。それほどの連なりだった。 しかしその一段目に取付くには茶色く泡立った釜に浸かるか、無理矢理ヘツッて滝に寄るかしかなかった。もちろんその濁りに浸かりたくも無かったし、スタンスやホールドは随所に見られはするが、万が一落ちてしまった時のことを考えるとヘツるのも二の足を踏む。 結局、またまた右岸より草付きを登り、一段目を越えた辺りでトラバースし、上へと続く残置ロープを跨いで、滝へと戻った。