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阿星山

十二坊
岩根山善水寺
阿星山
金勝アルプス
湖南アルプス

日程:2014/01/11-13(二泊三日)

ルート:十二坊テン場 - 磨崖不動明王 - 岩根山善水寺 - 阿星山長寿寺 - 阿星山常楽寺 - 阿星山 - 道の駅こんぜの里りっとう

コースタイム:10h15min(休憩時間を含む)

阿星山693.1m
距離:?km
累積標高:?m
天候:曇りのち雪
気温:?℃
湿度:?
目的:朱印
単独行

気を取り直し、地図を確認して、長壽寺へ向けて国道沿いを歩く。途中、旧道に入り案内板を頼りに辿った。

山門には先客がひとり。ゴツい三脚を傍に立て掛け、寺男と言葉を交わす。朧げに漏れ聞こえてくるのは、撮影が、とか、裏から廻るんですか、とか、堂宇内でのライトが、とか、そんな途切れ途切れの言葉の断片だった。
遠巻きにそれを見守るボクは、その諸用が済んだ後に声を掛けた。
「お札は要りますか」そんな問い掛けに「いえ」とだけ応えた。
「それではこれで、甘酒が頂けますので」と、一葉の厚紙を手渡された。

本堂前には、何やら仰々しいカメラが据え付けられている。何か取材でもあるのだろうか、と訝しみながらも本堂へと歩む。
それにしても何処で甘酒を振舞われるのだろう、と境内を巡るがそれらしき場所は見つけられなかった。そう云えば山門の近くに茶店らしきものがあったな、と参道を引き返した。しかしその茶店らしき建物も堅く門を閉ざしていた。

「甘酒を頂けると伺ったのですが」
オイズルに輪袈裟を掛けた女性に声を掛けた。

「鬼ばしりが終わった後に本堂で振舞われます」
そりゃあそうだ。行事があるからこそ振舞いがある訳だ。

「二月堂でお水取りってありますやろ」
寒空の中で震えながら、松明を抱えながら走り廻る僧侶の姿を仰ぎ観たのを思い出す。

「あちらさんは二月に行うのですが、こちらでは一月にやります」
あれはどの彼女と観に行ったのだったか。

「珍しい行事ですので、観ていかはったら宜しいのに」
人混みの中、降り来る火の粉を思い出す。

「こちらさんでも松明を持って走るのですか」
それを動画で撮っていたはずなのだが、何処にあるのだろうか。

「本堂の天井を焦がしたことがあって、それ以来、本モンの火は使うてません」
あれは、リコーのカメラで撮ったはずだった。

「何時頃から始まるのですか」
となると、その頃に付き合っていた娘ってのは…

「二時頃からになります」
なんてことはない。その時に彼女はいなかったはずだ。

「せっかくだから、観て行こうかな」
そして思い出す。あれは妹と観に行った記憶に過ぎなかった。

「鬼ばしり」まで一時間以上の時間を持て余し、再び、境内を一通り廻る。案内板を読み返す。
そうしてようやく、本堂内に人が集まりだしたのだった。

堂内には既にテレビカメラが据えられ、パイプ椅子が三段に並べられている。その最後列中央付近に陣取った。
田舎故のご近所付合いの寄合的な雰囲気の中、祭事の開催を待ちわびた。

銅鑼を打ち付ける音が響き渡り、それに合わせて鬼の仮面を被った子供達がタテを繰り出す。それを祈祷で追い払う住職。辿々しい仕草が続き、激しくフラッシュが焚かれた。普段は撮影禁止なのだろうが、そこはお遊戯会のようなノリで無礼講と云ったところか。ボクもそれに習いシャッターを押し続けた。

行事は終わり、本堂前で甘酒を振舞われた。ついでに牛王も頂く。
不意に尿意を覚え、厠を訪ねる。本堂に戻り、身仕度を整えていると「甘酒を頂きましたか」と言葉を掛けられた。肯定の意を返す。「お餅は」の質問は否定した。「何してはるんですか」と叱られ「後であげるからね」って、そばにいた子供の餅を奪い、渡された。そんなこんなで、色々と申し訳ないような気持ちでいっぱいになりながら、湖南三山のふたつ目を辞したのだった。

みっつ目の常楽寺はすぐそばだった。勧請縄を潜り山門前を訪れると、そこには無情にも「閉門」の貼り紙があった。なんでも常楽寺は無住で、秋の特別公開以外は予約制なのだと云う。塀越しに見栄えのする五重塔を眺めながら、執心を遺し、阿星山への路を急いだ。

堰堤が連なる谷沿い、フラットダートの歩きやすい路が続く。
山頂付近は数十年前くらいに公園として整備され、やがて人の訪れが減り、荒れるがままに放置されていると云った趣きを見せていた。その公園の案内図が、それは間違いで、たかだか十数年程しか経ていない事を告げていた。
そして案内図にあるはずの路は見付からず、ないはずの路が刻まれていた。それでも山頂へ至る路はハッキリとし、間違え様もない。問題はそこから先、道の駅へと下る路が無いって事だ。山頂から先へ延びる踏み跡を辿ればかなりの遠回りになるはずだった。読図によれば、山頂に至る前に下山ルートがあるはずだったのに、それらしきものは見かけなかった。

地形図に依るとこの辺りに分岐があるはずなのだと見込んだ地点まで戻る。途中、微な跡はあるのだが、ボクの拙い読図でも分かる程に違う場所だった。しかし、その踏み跡以外に方角的に正しそうなものは見つけられなかった。違う方へ延びるようなら藪漕ぎも覚悟の上で分け入った。

立入禁止とばかりに鎖で閉ざされた階段を通り過ぎ、その先に続くハッキリとした跡を辿る。そしてその跡が山頂下の鉄塔へと伸びているのを確認し、階段まで引返した。資材運搬用のレールも、外からの侵入を阻むフェンスも、全て用をなさないまでに崩れ果て惨めな様を晒していた。

階段の終点では人の出入りを拒む扉が堅く閉されてはいたが、すぐ横の手摺が跨げる高さしかないから、その存在意義すら薄れていた。
舗装路に降り立ち、斜面を下る路を探し歩いた。地形図ではそれがあるはずなのだが、またそれを見つけることが出来ないまま路肩まで崩れ落ちこれまた車道としての用をなさない林道を下って行った。

そうして、ひとつの集落に出た。ここからは「道の駅 こんぜの里りっとう」を示す標識が多々並んでいた。しかし、ひとつの標識を見落とすことによって道を外れた。どっちだろうと迷った末の決断だったのにだ。川の分岐まで下り、地図を確認し、どうもこちらではなさそうだと、いま来た道を引き返す。
夕焼けにインクを注ぐように夜が訪れ、電飾に飾られた家がひときわ目立ち出す中、先ほど迷った交差点に迷った末に選択しなかった道を示す標識を見つけたのだった。

集落を抜け高度を上げて行く。沢沿いにはロッジの灯りが煌めいていた。日没と共に辺りは急激に気温を下げ、小雪が舞出す。風は強さを増し、指先の感覚を奪っていった。

「道の駅 こんぜの里りっとう」は既に真っ白に染まり、静寂に包まれていた。盗難防止の為か、自動販売機の一つすら設置されず、足湯は休止中となっていた。

駐車場を外れ、公園への階段を上る。白一色の荒涼とした景色にボクの足跡だけ刻んでいった。
十本の指はまだ、第一関節より上に感覚はなく、何時も鈍く痺れていた。雪山に登れないから低山を選んでいるというのに、よくよく天は残酷な仕打ちを与えてくれる。

生垣の片隅が紫鈍に照らされるを見た。ガスストーブに手をかざし暖を取る姿が浮かび上がった。先客がいたのかと驚きつつ、風を遮られそうな場所を探した。フットプリントを拡げ、シェルターを取り出すが、いや、風が強過ぎる。やれ、傾斜が気に食わない。と幾度となく場所を変え、結局は先客と同じく生垣の隙間へと落ち着いたのだった。

遭遇:バックパッカー

呑み:○K - 道の駅 こんぜの里りっとう

岩根山善水寺
阿星山長寿寺
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