ルート:岡本八幡神社 - 保久良神社 - 風吹岩 - 保久良神社 - 岡本八幡神社
コースタイム:1h 15min(休憩時間を含む)
風吹岩:447m
距離:?
累積標高:?
天候:晴れ
気温:13℃
湿度:?
目的:晩酌
単独行
「それなら、一緒に下りましょう」
右手を差し出し、立ち上がるように促しました。
「すみません」
ためらいがちに伸ばされた手を、強く握り返しました。
LEDの光りに青白く浮かび上がる横顔。憂いを感じさせる切れ長な瞳に、スッと通った鼻筋。薄く整った口角には、疲労の程が滲み出ておりました。年の頃は20代半ば。往っても30は越えていないだろうと云うところでしょうか。
「暗くなってきたので急いだのですが、急に辺りが見えなくなってしまって」
誰かに言い訳するようにそんな言葉を口にします。
「大丈夫ですよ、大丈夫」
誰に聞かせるともなく、ボクも呟きました。
行き掛かり上、繋いだ手をそのままに山を下っていきました。そこは漆黒の山中とはいえ、歩き慣れた路。日も高い最中と変わらぬ足取りで辿ることが出来ます。
しかし時たま訪れる抵抗は、歩みが速いと非難されているようで、その度に歩調を落としました。
そんなことが切っ掛けで、「歩くの速い」とか、「ちょっとまって」などと、かつて付き合ってきた女の子たちに注意されたことを思い出したりもしていました。そんな甘酸っぱい思い出を、胸一杯拡げている内に、ボクの妄想癖もそれに付随する失敗をものともせずに、繰り広げられていくのでした。
夕日が照らす人気のない砂浜。低く落ちてきた太陽は、波に洗われ滑らかに整えられた砂浜に、長く続いていくふたつの影を刻み込んでいました。
「キミのこと、真剣に口説いても良いかな?」
言葉無く頷く影に、ふたつの影はやがてひとつに。。
そんなシチュエーションであれば、こんなベタな口説き文句のひとつでも耳元で囁いてみたりもするのですが、今はそんな時と場合ではありません。
取り敢えずは無事に彼女を山の麓まで送り届けなければならないのです。
理性ではそう思い込もうとしながらも、ボクのヨゴレと呼ばれる大部分な処で勝手な妄想を次次に繰り広げながら、しっかりと繋がれた手と手にはじんわりと汗がにじみ始めていくのでした。そしてその湿り気を感じられたらイヤだな、と、意識すればするほど、その接合された部位に、男女が触れ合うときには自然だろ、とも思える程に潤滑的な液が溢れていくのでした。
しかし彼女は、そんな事に気付く余裕がないほど追い詰められていたのか、より一層、しっかりとそのふたつの手は絡み合っていくのでした。
間もなく神戸の灯りも見え始める金鳥山の辺りに差し掛かった頃、一際強く手を引かれました。
「ねえ」の声に合わせて、振り返りました。もちろん在らぬ妄想、要らぬ想像を胸に抱きながら、です。
もう少し、続く?
コースタイム:1h 15min(休憩時間を含む)
風吹岩:447m
距離:?
累積標高:?
天候:晴れ
気温:13℃
湿度:?
目的:晩酌
単独行
「それなら、一緒に下りましょう」
右手を差し出し、立ち上がるように促しました。
「すみません」
ためらいがちに伸ばされた手を、強く握り返しました。
LEDの光りに青白く浮かび上がる横顔。憂いを感じさせる切れ長な瞳に、スッと通った鼻筋。薄く整った口角には、疲労の程が滲み出ておりました。年の頃は20代半ば。往っても30は越えていないだろうと云うところでしょうか。
「暗くなってきたので急いだのですが、急に辺りが見えなくなってしまって」
誰かに言い訳するようにそんな言葉を口にします。
「大丈夫ですよ、大丈夫」
誰に聞かせるともなく、ボクも呟きました。
行き掛かり上、繋いだ手をそのままに山を下っていきました。そこは漆黒の山中とはいえ、歩き慣れた路。日も高い最中と変わらぬ足取りで辿ることが出来ます。
しかし時たま訪れる抵抗は、歩みが速いと非難されているようで、その度に歩調を落としました。
そんなことが切っ掛けで、「歩くの速い」とか、「ちょっとまって」などと、かつて付き合ってきた女の子たちに注意されたことを思い出したりもしていました。そんな甘酸っぱい思い出を、胸一杯拡げている内に、ボクの妄想癖もそれに付随する失敗をものともせずに、繰り広げられていくのでした。
夕日が照らす人気のない砂浜。低く落ちてきた太陽は、波に洗われ滑らかに整えられた砂浜に、長く続いていくふたつの影を刻み込んでいました。
「キミのこと、真剣に口説いても良いかな?」
言葉無く頷く影に、ふたつの影はやがてひとつに。。
そんなシチュエーションであれば、こんなベタな口説き文句のひとつでも耳元で囁いてみたりもするのですが、今はそんな時と場合ではありません。
取り敢えずは無事に彼女を山の麓まで送り届けなければならないのです。
理性ではそう思い込もうとしながらも、ボクのヨゴレと呼ばれる大部分な処で勝手な妄想を次次に繰り広げながら、しっかりと繋がれた手と手にはじんわりと汗がにじみ始めていくのでした。そしてその湿り気を感じられたらイヤだな、と、意識すればするほど、その接合された部位に、男女が触れ合うときには自然だろ、とも思える程に潤滑的な液が溢れていくのでした。
しかし彼女は、そんな事に気付く余裕がないほど追い詰められていたのか、より一層、しっかりとそのふたつの手は絡み合っていくのでした。
間もなく神戸の灯りも見え始める金鳥山の辺りに差し掛かった頃、一際強く手を引かれました。
「ねえ」の声に合わせて、振り返りました。もちろん在らぬ妄想、要らぬ想像を胸に抱きながら、です。
もう少し、続く?
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