息をするだけでも汗ばむ強烈で濃密な湿度の中、ボクは途方に暮れていた。
いったいどこからドラゴンズバックへと上るのだろうかと。登山口は何処へ行ったのだろうかと。
九龍で地図を買わなかった事。香港ではどこでもWi-Fiが繋がると思っていた事。ネットで情報を集めてから来なかった事。
後悔ならいくらでも湧いてくるのに、頑張ろうって気力は全く起らなかった。
すべてはこの暑さのせい。湿度のせいだった。
中環渡輪碼頭のバス停から780系統(柴灣行)のバスへ乗り込んだ。
本当は788系統のバスに乗る予定だった。ドラゴンズバックへ行くには、そのバスに乗ればいいはずだった。それくらいのことは事前に調べていた。だが、いくら探しても、どれだけ手を尽くしても、そのバス停は見付からなかった。
しかし似た系統の780番は見付けた。行き先「柴灣」の地名に見覚えがあり、ドラゴンズバックへ行くか運転手に尋ねてみる。判らないと言われ、そのバスを見送り、地図を確認した。やはり柴灣行で良いようだった。だから780系統のバスに乗り込んだんだ。
ドラゴンズバックは香港島の東の外れ。なのにバスは西へと向かい、市街地をグルグルと廻り出した。乗り間違えたのだろうかと不安になる。柴灣行ではなく、柴灣発だったのだろうかと心配した。
それならそれでSOHO観光でも良いかと思いはじめていた頃、市街地を抜け、東へと続く道を走りだしていた。
梅雨の真っ只中の香港。雨を心配していたのだが、一時激しく降っただけで、晴れ間が広がっていく。だからこその湿度でもあったのだ。
終点、柴灣(東)巴士總站で降り立つ。途中見掛けたスーパーで500mlで90円ほどのビール(Pale Wheat)と、それより少し安いくらいの緑茶を買った。
ビールを飲みながらFREE Wi-Fiを探す。しかし尖沙咀でも中環でもあれほど溢れていたその電波は、ここ柴灣では全く見付からなかった。
それならそれでとりあえず山に向かおうと坂を上る。天后古廟の看板を見付た。
天后古廟の裏へと続く踏跡は、ゴミの山を抜け、その深さも分らぬ藪へと伸びていた。
藪を漕ぐのは嫌ではないけど、見たこともない巨大で極彩色の毒虫が潜んで居そうでそれが嫌だった。
辺り一面に打ち捨てられたゴミを踏み越えて行かなければならないってのもやる気を削ぐ理由の一つだった。
柴灣池畔公園まで引返し、コンクリート舗装の道を辿る。
「SLOPE MAINTENANCE ONLY」と書かれてはいるが開放されたままの階段を上る。香港でも自己責任看板を掲げているのかと思いながら、いくつその扉を潜ったのだろう。上っては行止り、戻っては上る。
始めこそ高層住宅を見下ろす香港らしいその眺めは楽しくもあったのだが、延々と繰り返される法面保護のコンクリート斜面の単調さとプールの底を歩くかのような湿度にボクの精神は蝕まれていった。
そこに止めを刺したのは、甘いお茶。しかも茉莉花茶の香り付き。Green Teaなのに。
そんな温い甘いジャスミン香るお茶では、ボクを頑張らせようという気力の糧には到底成り得なかったのだった。
smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited
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日程:2017/06/06(日帰り)
ルート:天后古廟 - 柴灣池畔公園 - 斜面維持通路 - 柴灣池畔公園
コースタイム: about 1hour(休憩時間を含む)
距離:?km
累積標高:?m
天候:晴れ
気温:?
湿度:?
目的:縦走
単独行
香港島郊區地圖
蘿蔔牛?飯(ローパアウランファン)
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