霊仙山一日目
霊仙山二日目
ルート:四合目避難小屋 - 継子穴 - 四丁横崖 - 山頂避難小屋 - 経塚山 - 霊仙山山頂 - 経塚山 - お虎ヶ池 - お猿岩 - 見晴台 - 汗拭峠 - 山小屋かなや - 榑ヶ畑登山口 - JR醒ヶ井
20130216-17
コースタイム:5h 36min(休憩時間を含む)
霊仙山:1,094m
距離:16.406km
累積標高:759m
天候:晴れのち曇り
気温:?
湿度:?
目的:雪遊び
単独行
シュラフよりはみ出した肩の痛みに目を覚まし、マットを外れた尻の冷たさに凍える一夜を過ごした。二時間しか登っていないのに、都合十五時間も寝てしまっていた。
それはまったく、山に登りに来たのか、寝に来たのかわからないアリ様だ。
朝食は雪を溶かしてのラーメン。具はない。残った汁に90秒で茹であがるパスタを加え、炭水化物を追加する。慌しく家を飛び出した為に行動食が少なめなので、しっかり朝食を摂っておきたかったからだ。ポケットにはショッツが二つ、BCAAが三つ、手作りクッキーが二枚あるだけだった。予備食は2食分あるが、ストーブを出すのが面倒くさいので作る気はない。粉末スポーツドリンクすら忘れてきたので、ショッツを水に溶かす。そのままでは雪臭くて飲めたものではない。
外は吹雪も治まりよい天気。トレースがしっかりと残っているから、ピークを踏んでも昼過ぎには下山できるはずだ。
唯一不安があるとすれば、水が220mlしかないってこと。凍ってしまうから、雪を融かせばいいからってPETボトルを一本しか買ってこなかった事を後悔していた。雪が少ないクセに気温だけはいっちょまえに低いから水を造るのにとってもとっても時間が掛る。もっとカロリーの高いのを持ってくればよかったと反省する。もっともそんな思いも来年の冬にはすっかり忘れて、また安上がりなジュニアバーナーを雪山に持ち込むのだろう。
前回引返した河内道分岐にいつまでたっても着かなかった。ちょっとしたピークを越えて少し下るとそれはあるはずなのに、もう当に着いてもいいくらいの距離を歩いているはずなのに未だ辿りつけずにいた。去年の記憶を辿ってみるが辺りの景色に見覚えはない。トレースをなぞり、外れ、またなぞると繰返す内にルートを外れたようだった。もちろん雪山で夏道を辿る必要はないし、避難小屋へと方角は合っているのだから間違いではない。ただ、昨年辿った路とは違うから、不安が胃の腑の辺りに澱のように積っていった。
継子穴に出た。どうやら尾根筋を東に外れ(と思っていたが、logに拠るとむしろ西に外れていた)、河内道分岐に寄らなかったようだった。踏み跡は遮るテープを越え、緩斜面を下っていた。現在位置を確認できた安堵感からだろうか、何も考えることなくその踏み跡を辿っていた。徐々に下っていくその跡はいつまでたっても登り返すことなく、登り返しそうにも見えなかった。これは完ぺきに下山道と見切りをつけ、単独ラッセルへと切換える。壺足で膝くらいまで沈む。山頂付近は吹きっ曝しになるのでこの辺りが最も積っている辺りなのだろう。やっぱり雪洞を掘るには物足りなかった。避難小屋に泊って正解といったところか。
四丁横崖から山頂避難小屋を目掛け稜線へと直登する。低く枝を延ばす木立にバックパックを引かれながらも稜線に出た。避難小屋までの急坂を足を止めては登り、登っては足を止めながら一歩ずつ進む。振り返れば、今来た小ピーク伊吹山を越え、白山の連なりが拡がる。山頂は目と鼻の先だ。
山頂避難小屋は、コンテナにスノコを敷いただけの四合目避難小屋と違い、風除室に板張りの仮眠室まで備えた偉く立派な建物だった。そこは快適過ぎて面白味に欠け、やはり四合目避難小屋に泊ったのは間違いではなかったと覗きながら思った。
経塚山、霊仙山山頂、最高点と三つ並ぶコブを、経塚山、霊仙山山頂と巡る。
日本海より激しく吹き抜ける風雪は、山頂付近の岩塊や看板に巨大なエビのシッポを生やしながら、山腹を磨き上げていた。気を抜くと滑落しそうな斜面にハの字を刻みながら登る。経塚山に辿りつくと、避難小屋から見上げた人影は、霊仙山山頂を目指していた。その後を追うようにボクも霊仙山山頂へ向かう。振り返れば、避難小屋の近くに人影がひとつ増えていた。
霊仙山山頂着。
眼下に広がる琵琶湖を臨み、その先に頂きに雪を湛える武奈ヶ岳を眺め、もう一度雪が降ったなら武奈ヶ岳か高島トレイルで雪遊びだっと残り少ない冬に期待を繋いだ。
榑ヶ畑へ下りるため、再び経塚山へ登る。
あえて最高点を訪れなかったのは早くビールが飲みたかったからってことと、来年登るときに目標があった方がいいかなって思ったからだ。
斜面を駆け降り、お虎ヶ池で一休み。BCAAを含み、水で流しこむ。グリーンプラムが仄かに香るが、雪臭さは隠し切れていない。
「ここはお虎ヶ池ではありません」と看板が立っている。ここはお虎ヶ池なのか、違うのか、何故こんなことになっているのか不思議だ。
登ってきた70歳位のおばあさんとしばし言葉を交わし、お気をつけての挨拶で別れた。
霊仙山は、ボクを含め単独行の人が多かった。その多くは榑ヶ畑から上り、榑ヶ畑へ下るのだろう。登山道から山頂まで最も距離が短く、路も整備され、踏跡もしっかりと付いているから単独行でも一人ラッセルを強いられることもない。道迷いの心配もほとんどないだろう。榑ヶ畑ルートなら、昨年でも日帰りで余裕だったのではないか。山小屋かなやの無人販売所で、極上のビールを味わいながら、そう思った。
霊仙山二日目
ルート:四合目避難小屋 - 継子穴 - 四丁横崖 - 山頂避難小屋 - 経塚山 - 霊仙山山頂 - 経塚山 - お虎ヶ池 - お猿岩 - 見晴台 - 汗拭峠 - 山小屋かなや - 榑ヶ畑登山口 - JR醒ヶ井
20130216-17
コースタイム:5h 36min(休憩時間を含む)
霊仙山:1,094m
距離:16.406km
累積標高:759m
天候:晴れのち曇り
気温:?
湿度:?
目的:雪遊び
単独行
シュラフよりはみ出した肩の痛みに目を覚まし、マットを外れた尻の冷たさに凍える一夜を過ごした。二時間しか登っていないのに、都合十五時間も寝てしまっていた。
それはまったく、山に登りに来たのか、寝に来たのかわからないアリ様だ。
朝食は雪を溶かしてのラーメン。具はない。残った汁に90秒で茹であがるパスタを加え、炭水化物を追加する。慌しく家を飛び出した為に行動食が少なめなので、しっかり朝食を摂っておきたかったからだ。ポケットにはショッツが二つ、BCAAが三つ、手作りクッキーが二枚あるだけだった。予備食は2食分あるが、ストーブを出すのが面倒くさいので作る気はない。粉末スポーツドリンクすら忘れてきたので、ショッツを水に溶かす。そのままでは雪臭くて飲めたものではない。
外は吹雪も治まりよい天気。トレースがしっかりと残っているから、ピークを踏んでも昼過ぎには下山できるはずだ。
唯一不安があるとすれば、水が220mlしかないってこと。凍ってしまうから、雪を融かせばいいからってPETボトルを一本しか買ってこなかった事を後悔していた。雪が少ないクセに気温だけはいっちょまえに低いから水を造るのにとってもとっても時間が掛る。もっとカロリーの高いのを持ってくればよかったと反省する。もっともそんな思いも来年の冬にはすっかり忘れて、また安上がりなジュニアバーナーを雪山に持ち込むのだろう。
前回引返した河内道分岐にいつまでたっても着かなかった。ちょっとしたピークを越えて少し下るとそれはあるはずなのに、もう当に着いてもいいくらいの距離を歩いているはずなのに未だ辿りつけずにいた。去年の記憶を辿ってみるが辺りの景色に見覚えはない。トレースをなぞり、外れ、またなぞると繰返す内にルートを外れたようだった。もちろん雪山で夏道を辿る必要はないし、避難小屋へと方角は合っているのだから間違いではない。ただ、昨年辿った路とは違うから、不安が胃の腑の辺りに澱のように積っていった。
継子穴に出た。どうやら尾根筋を東に外れ(と思っていたが、logに拠るとむしろ西に外れていた)、河内道分岐に寄らなかったようだった。踏み跡は遮るテープを越え、緩斜面を下っていた。現在位置を確認できた安堵感からだろうか、何も考えることなくその踏み跡を辿っていた。徐々に下っていくその跡はいつまでたっても登り返すことなく、登り返しそうにも見えなかった。これは完ぺきに下山道と見切りをつけ、単独ラッセルへと切換える。壺足で膝くらいまで沈む。山頂付近は吹きっ曝しになるのでこの辺りが最も積っている辺りなのだろう。やっぱり雪洞を掘るには物足りなかった。避難小屋に泊って正解といったところか。
四丁横崖から山頂避難小屋を目掛け稜線へと直登する。低く枝を延ばす木立にバックパックを引かれながらも稜線に出た。避難小屋までの急坂を足を止めては登り、登っては足を止めながら一歩ずつ進む。振り返れば、今来た小ピーク伊吹山を越え、白山の連なりが拡がる。山頂は目と鼻の先だ。
山頂避難小屋は、コンテナにスノコを敷いただけの四合目避難小屋と違い、風除室に板張りの仮眠室まで備えた偉く立派な建物だった。そこは快適過ぎて面白味に欠け、やはり四合目避難小屋に泊ったのは間違いではなかったと覗きながら思った。
経塚山、霊仙山山頂、最高点と三つ並ぶコブを、経塚山、霊仙山山頂と巡る。
日本海より激しく吹き抜ける風雪は、山頂付近の岩塊や看板に巨大なエビのシッポを生やしながら、山腹を磨き上げていた。気を抜くと滑落しそうな斜面にハの字を刻みながら登る。経塚山に辿りつくと、避難小屋から見上げた人影は、霊仙山山頂を目指していた。その後を追うようにボクも霊仙山山頂へ向かう。振り返れば、避難小屋の近くに人影がひとつ増えていた。
霊仙山山頂着。
眼下に広がる琵琶湖を臨み、その先に頂きに雪を湛える武奈ヶ岳を眺め、もう一度雪が降ったなら武奈ヶ岳か高島トレイルで雪遊びだっと残り少ない冬に期待を繋いだ。
榑ヶ畑へ下りるため、再び経塚山へ登る。
あえて最高点を訪れなかったのは早くビールが飲みたかったからってことと、来年登るときに目標があった方がいいかなって思ったからだ。
斜面を駆け降り、お虎ヶ池で一休み。BCAAを含み、水で流しこむ。グリーンプラムが仄かに香るが、雪臭さは隠し切れていない。
「ここはお虎ヶ池ではありません」と看板が立っている。ここはお虎ヶ池なのか、違うのか、何故こんなことになっているのか不思議だ。
登ってきた70歳位のおばあさんとしばし言葉を交わし、お気をつけての挨拶で別れた。
霊仙山は、ボクを含め単独行の人が多かった。その多くは榑ヶ畑から上り、榑ヶ畑へ下るのだろう。登山道から山頂まで最も距離が短く、路も整備され、踏跡もしっかりと付いているから単独行でも一人ラッセルを強いられることもない。道迷いの心配もほとんどないだろう。榑ヶ畑ルートなら、昨年でも日帰りで余裕だったのではないか。山小屋かなやの無人販売所で、極上のビールを味わいながら、そう思った。
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