※ここ鳥海山では、シーカヤックからバイクでヒルクライム、山頂までトレランの「sea to summit」って大会があるようですが、それとは全く関係ありません。検索で来られた方には誠にもしわけございません。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
お山へ入るための作法。
汗ダクの下着を着替え、登山口の情報をチェックする。
その貼紙には、アテにしていた水場は8月には涸れると書いてあった。
ここまでで2リットルの水をほぼほぼ飲み尽くしていたので、軽量化のために汲まずに上がっていたら、その水場で給水しようなどと考えていたら、はい終了、の憂き目にあっていた。
危ない危ない。
RICOH GR DIGITAL IV
直前の仕事が忙しすぎて、十分な用意や情報収集ができずに来たはいいけど、結局、どうにもこうにもならなくて、何もできない、なんてよくあるパターン。
パスポートと免許証とクレジットカードさえあればなんとかなる、なんてよく言うけど、クレジットカードが使えなかったり、巨万の富を持ってしても、そもそも必要な物がそこで売ってなかったりなんて離島や僻地では平気であったりする。
WiFiだけはどこでも繋がったりするくせに。
でも今回は、水を汲んで行けばいいだけの話なので、公衆便所一つあれば話は済む。それより問題なのは、雨具やウインドシェル、ソフトシェルですら持ってきていないということである。
(つまり、全装備が短パンにTシャツしかないことを意味する)
RICOH GR DIGITAL IV
天気予報では、晴れもしくは曇り。希望的観測では連日の晴れ、である。
まあ、気象図を読んだところで直前で変わったりもするから、雲行きを見ながら考えましょう、という感じだ。
気温はそう低くはならないだろうし、いつでもどこでもカバンのお供的なツェルトは持ってきているからなんとかなるだろう。
(実際、家のカギを失くして帰れなかった時も、ツェルト泊で2、3日凌いだこともある)
山頂に営業小屋があるから、金にモノを言わせれば、万が一にも死ぬことはないのだ。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
登りながら地形図をチェックしていた。
山頂を越え、避難小屋で一泊しようなんておぼろげながらに立てた計画は、登り始めてすぐの展望所ですでに破たんしていた。
途中でビバークしよう。山頂の小屋が営業小屋ということはわかっていたが、中間の小屋が避難小屋ならそこに泊まろうと思っていた。昼そこそこに到着するのに、だ。まだまだ先へと進む時間は残されているのに、だ。
それほどまでに疲れ切っていたし、それほどまでに眠たかった。一刻も早く眠りたかったのだ。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
「チョッパヤで行ってきます」
颯爽と追い抜いていく彼ら。しかし、その姿は二人しかいない。
後ろを振り返り
「もう一人は」と疑問を投げかける。
ロードの彼が見当たらなかった。
「股ずれでダメです」
ああ、股ずれか。アレは辛いな。
ダイトレから紀泉アルプスの100kmが思い出される。アレさえなければ友ヶ島まで行けたのに。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
涸れるとは書いてあったが、念のため水場を探しながら登っていた。
おそらくココだろうと、わずかに湿り気を残す岩肌を確認する。
その先で水音を聞き、ルートを外れて岩場を登っていった。結構な水の流れだ。この水はどこに消えていくのだろう。不思議に思いながら、ひとくちすする。何か有機物が溶け込んだ味が広がった。もしもコレを飲水とするなら、さらに上流を目指さねばならないだろう。帰りに立ち寄ることを踏まえて思う。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
賽の河原をすぎ、再び急坂に差し掛かる。眼下には絶景が広がり、5合目レストハウスまで見とおせた。山頂へのルートを外れた頂きを見つけ、地形図を確認する。稲倉岳というらしい。その手前に蟻の戸渡の文字があった。おそらくはヤセ尾根。破線を挟んだ崖の記号もソレを示している。ヤセ尾根はボクの大好物だ。だから稲倉岳にも立寄りたかったのだが、自粛されているのかロープが張り巡らされていた。
そしてうすうす感じてはいたのだが、中間地点にある御室小屋は、やっぱり、営業小屋だったのだ。
RICOH GR DIGITAL IV
下界の倍の値段を払ってビールを呑んでいると、アクエリアスを買い求める青年がやってきた。ジュース類は売切れで、水しかないと言われている。ジュースと水は500円。水なんて下界では100円で売っていた。なんと5倍の値段だ。
だが、ここはお山。そもそもモノの値段なんて、需要と供給だとか、仕入値だとかで決まる世界ではない。そう、重量で決まるのだ。
だから、下界で350円だった缶ビールが、およそ350gの重量加算額を経て700円となる。
そういうワケだから、およそ500gの水が500円で売られているのは、お得と云えるのかもしれなかった。
RICOH GR DIGITAL IV
山頂手前でルートは二つに分かれる。
千蛇谷を選んだのは、当然ながら外輪山を進むよりもビバークできそうな場所を探せそうだったからだ。避難小屋までたどり着くまでの元気がなさそうなボクの現況を考えた上でのことだった。ビバークすることを大前提としてのことだった。
ボクの好みから云えば当然、この先のルートとして外輪山を選ぶところだけれどもだ。谷間を歩むよりも、眺望の良さそうな尾根筋を選びそうなボクだけれどもだ。
こちらの方が人が多いのもそちらを選びたくない理由になるのだが、こちらを選ばざるを得ない。それは仕方がないことだ。
って云うのも、火山性の地形ゆえツェルトを張れる場所が限られるこの山に於いて、少しでも風を防げそうな谷間を選ぶのは必然だった。ツェルトなしでも一晩過ごせそうな地形を探さざるを得なかったからだ。
RICOH GR DIGITAL IV
だから下山道として多く選ばれるであろうその路を、ときには路を譲り、ときには路を譲られ、しながら九十九折ていった。
雪渓を抜ける。ソールのすり減ったトレランシューズでころばぬよう歩いていく。
そしてその少し先に谷筋へと続く踏跡を見つけた。その先にセミダブルベットくらいの広さのフラットな岩があった。
そこに寝転ぶ。一日日光を浴びて温もったその岩の上に横になった。
二人並んで、向きあって、微笑み、笑いあえるくらいの広さの岩に一人で寝転んでいた。
その温もりを一人で感じる。一人ではあるがその温かさにウトウトとし始める。
どれくらい眠ったのだろう。通り過ぎていく人の気配と谷間に残る雪渓を吹き下る寒気にさらされ目が覚めた。
RICOH GR DIGITAL IV
ここで寝ていてはいけなない。なんとなくそう思った。
冷気を遮るためにツェルトは、枕元に存在する岩を使ってなんとか張れそうなのだが、まだ腰を落ち着けるには早すぎる時間で、あまりにも人目につきすぎる。
だからもう少し先へと進んだ。
なんとなく眠れそうな場所を見つけながらも、下りてくる人を見かけ、さらに先へと上っていった。
RICOH GR DIGITAL IV
尾根筋を見上げる。
未だ彼らと逢わずにいた。おそらく外輪山をたどり下山したのだろう。時間的にそれしか考えられなかった。
尾根に人影が見えないのを確認しながら、ふたりの姿が見えないのを不審に思いながらもそう思った。
RICOH GR DIGITAL IV
湿地帯を見つけた。
堆積したドロにより平坦になった地形を見つけた。
若い火山においてこんな場所は珍しい。上手いこと張ればツェルトで寝られる。
火山帯という地形を思いながら、ここから上にはこれ以上好ましい場所はなさそうに思えていた。
それでもその先へと上っていったのは、なにやら見たことのある感じの人影を見かけたからだ。ふたり連れの彼らを見てしまったからだ。もしやと思ってしまったからだった。
RICOH GR DIGITAL IV
果たしてその人影は彼らだった。
再会の挨拶も早々に、ライトを持っているかたずねた。
「日没前に下山できると思うので大丈夫です」
日没までの時間はあと二時間足らず。ここまでのペースで考えると二時間ではつらそうだ。
山の日はつるべ落とし。日没まで明るいと思っていると痛い目に遭う。
「スマホの明りがあるから大丈夫です」
確かにボクも、ヘッデンの電池が切れた時にその明りを頼りに下山したこともあった。
だが、それも切れる時がくる。
明りがなければ一歩も歩けない闇を、幾度となく体験していた。
RICOH GR DIGITAL IV
「100均のライトだから持っていって」
予備のハンドライトを手渡した。遠慮する彼に無理矢理押しつけた。
去りゆく彼らにライトが点いてるから消してって叫びながら手を振る。
RICOH GR DIGITAL IV
余計なお世話だったかもしれない。あのおっさん、心配しすぎなんだよって笑われているかもしれない。
事実、日本海に面したこの山は、ツェルトを張る木もなく、月明りすら遮る木々のないこの山は、つるべを何処にも落とすこともなく、ゆっくりとゆっくりと海へと沈む夕日に照らし出されながら、緩やかに暮れていったのだった。
RICOH GR DIGITAL IV
この状況は想定外だった。こんな日暮は初めてだった。
だからすべては杞憂だったかもしれない。余計なお世話だったかもしれない。
やっぱり、心配しすぎなんだよって笑われているかもしれない。
だけど笑われたっていい。
笑われているってことは、無事下山しているってことだから。
ボクは、無事に、笑っていられることだけを望んでいるのだからだ。
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
Leica M8 Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 MC
RICOH GR DIGITAL IV
2019/08/11-13(二泊三日)
ルート:ビバーク地点0505 - 御室小屋0518 - 切り通し - 新山山頂0540 - 胎内くぐり - 御室小屋0559 - 千蛇谷 - 外輪山・千蛇谷分岐0701 - 七五三掛0706 - 八丁坂0714 - 御田ヶ原分岐0718 - 万助道 - 鳥海湖0734 - 小浜・鳥海湖分岐0751 - 御浜小屋0807 - 賽の河原0823 - 象潟口登山口0906 - r131鳥海ブルーライン - 新・秋田八景1025 - ブルーパーク1216 - 奈曽の白滝1312 - 道の駅 象潟 ねむの丘1754
コースタイム: 12h.49min(休憩時間を含む)
鳥海山(新山):2,236m 日本百名山、日本百景
扇子森:1,759m
地形図:象潟、小砂川、鳥海山
距離:30.9km
累積標高:?m
天候:晴れ
気温:?℃
湿度:?%
目的:SEA TO SUMMIT
単独行
ブルーパーク(象潟)★★★
オムライス¥600、金麦¥250×2
鳥ではなく豚モモが具のオムライス
具なしのケチャップライスの上の卵包みに玉ねぎと豚モモが載っているのが面白い
でもやっぱりオムライスには鶏肉があうと思う
展望温泉「眺海の湯」
営業時間:9:00~21:00
90分大人350円
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お山へ入るための作法。
汗ダクの下着を着替え、登山口の情報をチェックする。
その貼紙には、アテにしていた水場は8月には涸れると書いてあった。
ここまでで2リットルの水をほぼほぼ飲み尽くしていたので、軽量化のために汲まずに上がっていたら、その水場で給水しようなどと考えていたら、はい終了、の憂き目にあっていた。
危ない危ない。
RICOH GR DIGITAL IV
直前の仕事が忙しすぎて、十分な用意や情報収集ができずに来たはいいけど、結局、どうにもこうにもならなくて、何もできない、なんてよくあるパターン。
パスポートと免許証とクレジットカードさえあればなんとかなる、なんてよく言うけど、クレジットカードが使えなかったり、巨万の富を持ってしても、そもそも必要な物がそこで売ってなかったりなんて離島や僻地では平気であったりする。
WiFiだけはどこでも繋がったりするくせに。
でも今回は、水を汲んで行けばいいだけの話なので、公衆便所一つあれば話は済む。それより問題なのは、雨具やウインドシェル、ソフトシェルですら持ってきていないということである。
(つまり、全装備が短パンにTシャツしかないことを意味する)
RICOH GR DIGITAL IV
天気予報では、晴れもしくは曇り。希望的観測では連日の晴れ、である。
まあ、気象図を読んだところで直前で変わったりもするから、雲行きを見ながら考えましょう、という感じだ。
気温はそう低くはならないだろうし、いつでもどこでもカバンのお供的なツェルトは持ってきているからなんとかなるだろう。
(実際、家のカギを失くして帰れなかった時も、ツェルト泊で2、3日凌いだこともある)
山頂に営業小屋があるから、金にモノを言わせれば、万が一にも死ぬことはないのだ。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
登りながら地形図をチェックしていた。
山頂を越え、避難小屋で一泊しようなんておぼろげながらに立てた計画は、登り始めてすぐの展望所ですでに破たんしていた。
途中でビバークしよう。山頂の小屋が営業小屋ということはわかっていたが、中間の小屋が避難小屋ならそこに泊まろうと思っていた。昼そこそこに到着するのに、だ。まだまだ先へと進む時間は残されているのに、だ。
それほどまでに疲れ切っていたし、それほどまでに眠たかった。一刻も早く眠りたかったのだ。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
「チョッパヤで行ってきます」
颯爽と追い抜いていく彼ら。しかし、その姿は二人しかいない。
後ろを振り返り
「もう一人は」と疑問を投げかける。
ロードの彼が見当たらなかった。
「股ずれでダメです」
ああ、股ずれか。アレは辛いな。
ダイトレから紀泉アルプスの100kmが思い出される。アレさえなければ友ヶ島まで行けたのに。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
涸れるとは書いてあったが、念のため水場を探しながら登っていた。
おそらくココだろうと、わずかに湿り気を残す岩肌を確認する。
その先で水音を聞き、ルートを外れて岩場を登っていった。結構な水の流れだ。この水はどこに消えていくのだろう。不思議に思いながら、ひとくちすする。何か有機物が溶け込んだ味が広がった。もしもコレを飲水とするなら、さらに上流を目指さねばならないだろう。帰りに立ち寄ることを踏まえて思う。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
賽の河原をすぎ、再び急坂に差し掛かる。眼下には絶景が広がり、5合目レストハウスまで見とおせた。山頂へのルートを外れた頂きを見つけ、地形図を確認する。稲倉岳というらしい。その手前に蟻の戸渡の文字があった。おそらくはヤセ尾根。破線を挟んだ崖の記号もソレを示している。ヤセ尾根はボクの大好物だ。だから稲倉岳にも立寄りたかったのだが、自粛されているのかロープが張り巡らされていた。
そしてうすうす感じてはいたのだが、中間地点にある御室小屋は、やっぱり、営業小屋だったのだ。
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下界の倍の値段を払ってビールを呑んでいると、アクエリアスを買い求める青年がやってきた。ジュース類は売切れで、水しかないと言われている。ジュースと水は500円。水なんて下界では100円で売っていた。なんと5倍の値段だ。
だが、ここはお山。そもそもモノの値段なんて、需要と供給だとか、仕入値だとかで決まる世界ではない。そう、重量で決まるのだ。
だから、下界で350円だった缶ビールが、およそ350gの重量加算額を経て700円となる。
そういうワケだから、およそ500gの水が500円で売られているのは、お得と云えるのかもしれなかった。
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山頂手前でルートは二つに分かれる。
千蛇谷を選んだのは、当然ながら外輪山を進むよりもビバークできそうな場所を探せそうだったからだ。避難小屋までたどり着くまでの元気がなさそうなボクの現況を考えた上でのことだった。ビバークすることを大前提としてのことだった。
ボクの好みから云えば当然、この先のルートとして外輪山を選ぶところだけれどもだ。谷間を歩むよりも、眺望の良さそうな尾根筋を選びそうなボクだけれどもだ。
こちらの方が人が多いのもそちらを選びたくない理由になるのだが、こちらを選ばざるを得ない。それは仕方がないことだ。
って云うのも、火山性の地形ゆえツェルトを張れる場所が限られるこの山に於いて、少しでも風を防げそうな谷間を選ぶのは必然だった。ツェルトなしでも一晩過ごせそうな地形を探さざるを得なかったからだ。
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だから下山道として多く選ばれるであろうその路を、ときには路を譲り、ときには路を譲られ、しながら九十九折ていった。
雪渓を抜ける。ソールのすり減ったトレランシューズでころばぬよう歩いていく。
そしてその少し先に谷筋へと続く踏跡を見つけた。その先にセミダブルベットくらいの広さのフラットな岩があった。
そこに寝転ぶ。一日日光を浴びて温もったその岩の上に横になった。
二人並んで、向きあって、微笑み、笑いあえるくらいの広さの岩に一人で寝転んでいた。
その温もりを一人で感じる。一人ではあるがその温かさにウトウトとし始める。
どれくらい眠ったのだろう。通り過ぎていく人の気配と谷間に残る雪渓を吹き下る寒気にさらされ目が覚めた。
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ここで寝ていてはいけなない。なんとなくそう思った。
冷気を遮るためにツェルトは、枕元に存在する岩を使ってなんとか張れそうなのだが、まだ腰を落ち着けるには早すぎる時間で、あまりにも人目につきすぎる。
だからもう少し先へと進んだ。
なんとなく眠れそうな場所を見つけながらも、下りてくる人を見かけ、さらに先へと上っていった。
RICOH GR DIGITAL IV
尾根筋を見上げる。
未だ彼らと逢わずにいた。おそらく外輪山をたどり下山したのだろう。時間的にそれしか考えられなかった。
尾根に人影が見えないのを確認しながら、ふたりの姿が見えないのを不審に思いながらもそう思った。
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湿地帯を見つけた。
堆積したドロにより平坦になった地形を見つけた。
若い火山においてこんな場所は珍しい。上手いこと張ればツェルトで寝られる。
火山帯という地形を思いながら、ここから上にはこれ以上好ましい場所はなさそうに思えていた。
それでもその先へと上っていったのは、なにやら見たことのある感じの人影を見かけたからだ。ふたり連れの彼らを見てしまったからだ。もしやと思ってしまったからだった。
RICOH GR DIGITAL IV
果たしてその人影は彼らだった。
再会の挨拶も早々に、ライトを持っているかたずねた。
「日没前に下山できると思うので大丈夫です」
日没までの時間はあと二時間足らず。ここまでのペースで考えると二時間ではつらそうだ。
山の日はつるべ落とし。日没まで明るいと思っていると痛い目に遭う。
「スマホの明りがあるから大丈夫です」
確かにボクも、ヘッデンの電池が切れた時にその明りを頼りに下山したこともあった。
だが、それも切れる時がくる。
明りがなければ一歩も歩けない闇を、幾度となく体験していた。
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「100均のライトだから持っていって」
予備のハンドライトを手渡した。遠慮する彼に無理矢理押しつけた。
去りゆく彼らにライトが点いてるから消してって叫びながら手を振る。
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余計なお世話だったかもしれない。あのおっさん、心配しすぎなんだよって笑われているかもしれない。
事実、日本海に面したこの山は、ツェルトを張る木もなく、月明りすら遮る木々のないこの山は、つるべを何処にも落とすこともなく、ゆっくりとゆっくりと海へと沈む夕日に照らし出されながら、緩やかに暮れていったのだった。
RICOH GR DIGITAL IV
この状況は想定外だった。こんな日暮は初めてだった。
だからすべては杞憂だったかもしれない。余計なお世話だったかもしれない。
やっぱり、心配しすぎなんだよって笑われているかもしれない。
だけど笑われたっていい。
笑われているってことは、無事下山しているってことだから。
ボクは、無事に、笑っていられることだけを望んでいるのだからだ。
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
Leica M8 Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 MC
RICOH GR DIGITAL IV
2019/08/11-13(二泊三日)
ルート:ビバーク地点0505 - 御室小屋0518 - 切り通し - 新山山頂0540 - 胎内くぐり - 御室小屋0559 - 千蛇谷 - 外輪山・千蛇谷分岐0701 - 七五三掛0706 - 八丁坂0714 - 御田ヶ原分岐0718 - 万助道 - 鳥海湖0734 - 小浜・鳥海湖分岐0751 - 御浜小屋0807 - 賽の河原0823 - 象潟口登山口0906 - r131鳥海ブルーライン - 新・秋田八景1025 - ブルーパーク1216 - 奈曽の白滝1312 - 道の駅 象潟 ねむの丘1754
コースタイム: 12h.49min(休憩時間を含む)
鳥海山(新山):2,236m 日本百名山、日本百景
扇子森:1,759m
地形図:象潟、小砂川、鳥海山
距離:30.9km
累積標高:?m
天候:晴れ
気温:?℃
湿度:?%
目的:SEA TO SUMMIT
単独行
ブルーパーク(象潟)★★★
オムライス¥600、金麦¥250×2
鳥ではなく豚モモが具のオムライス
具なしのケチャップライスの上の卵包みに玉ねぎと豚モモが載っているのが面白い
でもやっぱりオムライスには鶏肉があうと思う
展望温泉「眺海の湯」
営業時間:9:00~21:00
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