※ここ鳥海山では、シーカヤックからバイクでヒルクライム、山頂までトレランの「sea to summit」って大会があるようですが、それとは全く関係ありません。検索で来られた方には誠にもしわけございません。
Leica M8 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
「こんにちは」って声を掛けられたのが彼ら3人との最初の出会いだった。
ボクはその時、朝食用にとマックスバリュで半額で買った皮の硬いソーセージにかぶりつき咀嚼しているまっ最中で、なんとかその挨拶は聞こえていたよ、との思いを伝えるべく微妙に頷くだけで、上手いこと返事を返す事が出来ないでいた。
ようやくそれらの全てを胃袋へとおとしこみ、一息ついて、その気まずさを押し流すように「それでは、お先に」と、去り際に挨拶を投げかけた。
「歩いて山頂まで、行くんですか」
ボクは肯定の意を示す。
「ボクらもね、山頂まで行くんですよ」
「海にタッチしてここまで登ってきました」
ロード1台にママチャリ2台の彼らは語った。
RICOH GR DIGITAL IV
「どこから来られたんですか」
思いがけずに会話は続いた。
「キャンプ場から」
そっけなく答える。
「あの海岸の」
「いや、河べりの方で」
「でも、ほぼほぼ海抜0mからですよね」
「頑張ってください」
そんな言葉を残してボクは去っていく。
また追いつかれるんじゃないかなって思いを残しながら。
追いつかれたくないなって思いを抱きながら。
Leica M8 Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 MC
追いつかれたのは思いのほか、結構な時間が経ったあとだった。
車の待避所で、上がり続ける心拍や、どうしようもない喉の渇きや、まとわりつくうっとおしい虫たちをどうにかしようと思っていた時のことだった。
「このペースだと、山頂日帰りは難しいんじゃないかな」
最初、日帰りを考えていたボクのコースタイムを思い出しながら忠告した。
「頑張ります」
20代半ばに見える彼らの無謀か、挑戦か、どちらにせよ、やりたい事はヤレるだけやっといたほうがいい。
ボクもそんな年頃に、そんなことをしてきたり、してこなかったりしてきたはずだが、今は少しも後悔していない。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
その先は結構頑張って歩いた。
彼らの心意気に感化されたってわけではなく、追いつかれ、また色々と会話しなければならないのがめんどくさかったからだ。
トイレらしき建物のある駐車場で再び追いつかれた。
道路脇に建つ付近の案内図を見ている時だった。
彼らはその駐車場に滑り込み
「このままこの先に坂を登るのはムリ」とか言っている。
ボクはいけるけどね、って思いながら先を急ぐ。
RICOH GR DIGITAL IV
次に追いつかれたのは、新秋田八景の看板が立つところだった。
なぜかロードのコがいちばんへたばっているようで、倒れこむ。
ミニベロのような小径ママチャリのコが話しかけてきた。
「あとどれくらいですかね」
「今標高が821mで、残り3kmくらいかな」マップがセットされていないガーミンを見、さっき「山形まで5km」の標識があったからそんなもんだろうと考えた。
3kmといえばたいした距離ではないが、ここからが正念場。より一層勾配がキツくなる地点だ。
RICOH GR DIGITAL IV
またもや軽くあいさつを交わし、先に歩き出す。
地形図を見ながら、あとカーブが4つ、カーブが3つ、とこころを奮い立たせて進んでいった。最後のキツいカーブをクリアし、駐車場を抜けてレストハウスに入る。
入口にあるビールの自販機を横目に「まだ慌てる時間ではない」とさらに先へと進む。
RICOH GR DIGITAL IV
休憩所兼食堂のようなスペースに貼り出された品書きを確認する。
「ビール350ml¥350」「ビール500ml¥500」「瓶ビール¥600」
これは瓶ビールしかないだろうと思うが、待て待て、これは孔明の罠だ、と頭を冷やす。¥600なのだから大瓶(633ml)だろうと思い込むのは、甚だ浅はかだ。ここは、そう、お山なのだ。量で値段は決まらない。重さこそが全ての基準。中瓶(500ml)の方が重たいので、100円高くしました、が、
まかり通るのかもしれない。むしろ重量比でいえば、100円高くてもお得じゃね、って思いさえもした。
RICOH GR DIGITAL IV
だから冷蔵庫を開け、そこにある瓶ビールを確認する。
アサヒスーパードライ、キリン一番搾り、サッポロ黒ラベル、大瓶、大瓶、大瓶。
たとえお山とはいえ、車道が通じているのだから重さがすべての世界ではなかったのだ。
RICOH GR DIGITAL IV
サッポロ黒ラベルを取り出し、カウンターで料金を払う。
「グラスはその辺にあるから」
「栓抜きもその辺にあるから探して使って」
いかにも田舎然としたサービス。都会の異常な過当競争とは別物のガラパゴス。
だが、イヤではない。
長田の立ち飲み屋なんかはそもそもこんなもんだ。そして、これお客さんからもーたから、ってちょっと高級なアテをサービスしてくれたりする。呑んだ酒の値段より、もろたアテの方が高かったりする。
そんな不躾なサービス。
こっちの方がむしろガラパゴスなのかもしれない。
RICOH GR DIGITAL IV
かなりのんびりビールを傾けて、お土産物を一通り冷やかしても彼ら3人組は現れなかった。
この時間からはムリやと引き返したのやろか、ムリでも5合目まで来とけば次回の参考にもなるんやし、自信にも繋がったんやろうけど、なんて思いながらレストハウスを出て行こうとした瞬間、彼らと逢った。
「もう山頂はムリやろ」とここまで頑張って来てくれた嬉しさ半面、無理して怪我されてもと心配半面の気持ちが噴き出した。
「とにかく頑張ります」の言葉に
「気をつけて」
「とにかく無理せんように頑張って」の言葉しか言いようがなかった。
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
幻日って現象らしい
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
RICOH GR DIGITAL IV
2019/08/11-13(二泊三日)
ルート:奈曽川河川公園キャンプ場0459 - 元滝伏流水0526 - r131鳥海ブルーライン - 鳥海山 鉾立展望台1009 - 象潟口登山口1055 - 賽の河原1234 - 御浜小屋1321 - 御田ヶ原1400 - 八丁坂1425 - 外輪山・千蛇谷分岐1511 - 千蛇谷 - 雪渓1521 - ビバーク地点1714
コースタイム: 12h.15min(休憩時間を含む)
鳥海山(新山):2,236m 日本百名山、日本百景
扇子森:1,759m
地形図:象潟、小砂川、鳥海山
距離:24.4km
累積標高:?m
天候:晴れのち曇り
気温:?℃
湿度:?%
目的:SEA TO SUMMIT
単独行
稲倉山荘(鳥海山)★★★★
サッポロ黒ラベル大瓶¥600
山の上でこの値段は嬉しい
小浜小屋(鳥海山)★★★
アサヒスーパードライ350ml¥700
歩荷価格で地上の2倍
ガイドセンターでは¥350
それでも山の上で冷え冷えのビールが飲めるのは嬉しい
Leica M8 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
「こんにちは」って声を掛けられたのが彼ら3人との最初の出会いだった。
ボクはその時、朝食用にとマックスバリュで半額で買った皮の硬いソーセージにかぶりつき咀嚼しているまっ最中で、なんとかその挨拶は聞こえていたよ、との思いを伝えるべく微妙に頷くだけで、上手いこと返事を返す事が出来ないでいた。
ようやくそれらの全てを胃袋へとおとしこみ、一息ついて、その気まずさを押し流すように「それでは、お先に」と、去り際に挨拶を投げかけた。
「歩いて山頂まで、行くんですか」
ボクは肯定の意を示す。
「ボクらもね、山頂まで行くんですよ」
「海にタッチしてここまで登ってきました」
ロード1台にママチャリ2台の彼らは語った。
RICOH GR DIGITAL IV
「どこから来られたんですか」
思いがけずに会話は続いた。
「キャンプ場から」
そっけなく答える。
「あの海岸の」
「いや、河べりの方で」
「でも、ほぼほぼ海抜0mからですよね」
「頑張ってください」
そんな言葉を残してボクは去っていく。
また追いつかれるんじゃないかなって思いを残しながら。
追いつかれたくないなって思いを抱きながら。
Leica M8 Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 MC
追いつかれたのは思いのほか、結構な時間が経ったあとだった。
車の待避所で、上がり続ける心拍や、どうしようもない喉の渇きや、まとわりつくうっとおしい虫たちをどうにかしようと思っていた時のことだった。
「このペースだと、山頂日帰りは難しいんじゃないかな」
最初、日帰りを考えていたボクのコースタイムを思い出しながら忠告した。
「頑張ります」
20代半ばに見える彼らの無謀か、挑戦か、どちらにせよ、やりたい事はヤレるだけやっといたほうがいい。
ボクもそんな年頃に、そんなことをしてきたり、してこなかったりしてきたはずだが、今は少しも後悔していない。
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
その先は結構頑張って歩いた。
彼らの心意気に感化されたってわけではなく、追いつかれ、また色々と会話しなければならないのがめんどくさかったからだ。
トイレらしき建物のある駐車場で再び追いつかれた。
道路脇に建つ付近の案内図を見ている時だった。
彼らはその駐車場に滑り込み
「このままこの先に坂を登るのはムリ」とか言っている。
ボクはいけるけどね、って思いながら先を急ぐ。
RICOH GR DIGITAL IV
次に追いつかれたのは、新秋田八景の看板が立つところだった。
なぜかロードのコがいちばんへたばっているようで、倒れこむ。
ミニベロのような小径ママチャリのコが話しかけてきた。
「あとどれくらいですかね」
「今標高が821mで、残り3kmくらいかな」マップがセットされていないガーミンを見、さっき「山形まで5km」の標識があったからそんなもんだろうと考えた。
3kmといえばたいした距離ではないが、ここからが正念場。より一層勾配がキツくなる地点だ。
RICOH GR DIGITAL IV
またもや軽くあいさつを交わし、先に歩き出す。
地形図を見ながら、あとカーブが4つ、カーブが3つ、とこころを奮い立たせて進んでいった。最後のキツいカーブをクリアし、駐車場を抜けてレストハウスに入る。
入口にあるビールの自販機を横目に「まだ慌てる時間ではない」とさらに先へと進む。
RICOH GR DIGITAL IV
休憩所兼食堂のようなスペースに貼り出された品書きを確認する。
「ビール350ml¥350」「ビール500ml¥500」「瓶ビール¥600」
これは瓶ビールしかないだろうと思うが、待て待て、これは孔明の罠だ、と頭を冷やす。¥600なのだから大瓶(633ml)だろうと思い込むのは、甚だ浅はかだ。ここは、そう、お山なのだ。量で値段は決まらない。重さこそが全ての基準。中瓶(500ml)の方が重たいので、100円高くしました、が、
まかり通るのかもしれない。むしろ重量比でいえば、100円高くてもお得じゃね、って思いさえもした。
RICOH GR DIGITAL IV
だから冷蔵庫を開け、そこにある瓶ビールを確認する。
アサヒスーパードライ、キリン一番搾り、サッポロ黒ラベル、大瓶、大瓶、大瓶。
たとえお山とはいえ、車道が通じているのだから重さがすべての世界ではなかったのだ。
RICOH GR DIGITAL IV
サッポロ黒ラベルを取り出し、カウンターで料金を払う。
「グラスはその辺にあるから」
「栓抜きもその辺にあるから探して使って」
いかにも田舎然としたサービス。都会の異常な過当競争とは別物のガラパゴス。
だが、イヤではない。
長田の立ち飲み屋なんかはそもそもこんなもんだ。そして、これお客さんからもーたから、ってちょっと高級なアテをサービスしてくれたりする。呑んだ酒の値段より、もろたアテの方が高かったりする。
そんな不躾なサービス。
こっちの方がむしろガラパゴスなのかもしれない。
RICOH GR DIGITAL IV
かなりのんびりビールを傾けて、お土産物を一通り冷やかしても彼ら3人組は現れなかった。
この時間からはムリやと引き返したのやろか、ムリでも5合目まで来とけば次回の参考にもなるんやし、自信にも繋がったんやろうけど、なんて思いながらレストハウスを出て行こうとした瞬間、彼らと逢った。
「もう山頂はムリやろ」とここまで頑張って来てくれた嬉しさ半面、無理して怪我されてもと心配半面の気持ちが噴き出した。
「とにかく頑張ります」の言葉に
「気をつけて」
「とにかく無理せんように頑張って」の言葉しか言いようがなかった。
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
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RICOH GR DIGITAL IV
RICOH GR DIGITAL IV
幻日って現象らしい
RICOH GXR MOUNT A12 Carl Zeiss Biogon T* 2.8/25 ZM
RICOH GR DIGITAL IV
2019/08/11-13(二泊三日)
ルート:奈曽川河川公園キャンプ場0459 - 元滝伏流水0526 - r131鳥海ブルーライン - 鳥海山 鉾立展望台1009 - 象潟口登山口1055 - 賽の河原1234 - 御浜小屋1321 - 御田ヶ原1400 - 八丁坂1425 - 外輪山・千蛇谷分岐1511 - 千蛇谷 - 雪渓1521 - ビバーク地点1714
コースタイム: 12h.15min(休憩時間を含む)
鳥海山(新山):2,236m 日本百名山、日本百景
扇子森:1,759m
地形図:象潟、小砂川、鳥海山
距離:24.4km
累積標高:?m
天候:晴れのち曇り
気温:?℃
湿度:?%
目的:SEA TO SUMMIT
単独行
稲倉山荘(鳥海山)★★★★
サッポロ黒ラベル大瓶¥600
山の上でこの値段は嬉しい
小浜小屋(鳥海山)★★★
アサヒスーパードライ350ml¥700
歩荷価格で地上の2倍
ガイドセンターでは¥350
それでも山の上で冷え冷えのビールが飲めるのは嬉しい
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