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秋田駒岩手山縦走(一日目後編)

秋田駒岩手山縦走(前夜)
秋田駒岩手山縦走(一日目前編)
秋田駒岩手山縦走(一日目後編)

日程:2014/08/14(日帰り)
ルート:水沢コース - 林道終点0815 - 水沢分岐0943 - 五百羅漢0953 - 男岳山頂1029 - 阿弥陀池1102 - 男女岳山頂1119 - 阿弥陀池小屋1123 - 横岳1201 - 大焼砂 - 横長根 - 小岳分岐1216 - 横長根分岐1235 - 御坪分岐1259 - 中生保内コース - 白滝1308 - 中生保内口駐車場1325 - 十丈の滝1349
山域:秋田駒ヶ岳(曲崎山、松川温泉、大更)











コースタイム:05h 58min(道迷い、休憩時間を含む)

距離:21.641km
累積標高:1,754m
天候:曇り一時雨
気温:?
湿度:?
目的:秋田駒岩手山縦走
単独行

田沢湖スポーツセンターまで戻り、地形図を確認する。駒ヶ岳への路は、スポーツセンターより下のカーブから尾根へ登るように続いていた。
そこは荒れたダートで、車が入っていけるだけの幅員があった。しかし、土砂の流出により進入禁止だと看板が掛かっている。これくらいならジムニーなら難なく行けそうだなと思ったが、ブナの倒木が道を塞ぎ、たとえトラ車であってもその先には進入不可能であった。

眺望のないダート道を進んでいると、道端に「駒ヶ岳登山道水沢口」を示す道標が立つ。その直ぐ先が駐車場となって居るのだが、登山道はその手前右手へと入って行く道だった。
駐車場の奥に踏み跡を見付けて分入ると、確かにテープはある。だが、明かにハイキングコースではなかった。

登山道に入ると、今までの緩やかな道が嘘のように、みるみる高度を上げて行く。
しばらくすると、木々の切れ間より先ほどの源泉が流れ込む沢が確認出来るが、森林限界を越えるまでさしたる眺望はなかった。しかも風が抜けない為、体力と水分をかなり消耗してしまう。

秋田駒は八合目まで車で上がれるためか、下から歩いて上るルートは整備されているとは言い難い。腰くらいまで茂る額紫陽花や野イチゴなどの茂みを掻き分けて行かなければならなかった。

森林限界を越え、振り返ると遠く田沢湖が広がり、細長く広がるカルデラの隅には「姿見ノ池」が存在を主張する。

水沢分岐を過ぎる。
女岳(1513m)の噴火(昭和45年)跡を眺めながら、そそり立つ「五百羅漢」と呼ばれる岩塊を避ける踏み跡を辿った。
カルデラ内へと削がれ落ちた斜面には、見た事のある花(アザミ)、名も知らぬ花(エゾニュウ)が咲き乱れている。流石は、花の名山と云われるだけのコトはある。

ロープが残置されたガレ場を登ると、小岳(1409m)を包み込む様に美しい草原が拡がる。この火口内部に落ち込む谷を、通称「ムーミン谷」と云うらしい。確かにその名に負けぬ、幻想的な佇まいを見せている。

左足の古傷が痛み、もはや岩手山(2038m)まで縦走する気力を失ったボクは、秋田駒だけを堪能して下りようと決めていた。
秋田駒の主峰、男岳(1623m)の社に手を合わす。主峰とは云っても、爆裂火口の端に過ぎない。
多くの人は、「阿弥陀池」端にそびえる寄生火山の男女岳(1637m)もってして、秋田駒登頂とするのだろう。そこが秋田駒の諸山で最も高所であり、一等三角点(1637. 31m)が設置されているからだ。

空腹を覚え、昼食を摂った。
アルコールストーブでお湯を沸かし、温かいラーメンでもと思ったのだが、持ち水の頼りなさとあまりの風の強さにやめる。「阿弥陀小屋」の陰で風を避け、行動食としてもって来ていたグリーン豆を囓る。ここでは地図を拡げるのも一苦労だった。

もはや降りる気満々なのだが、登って来た路をそのまま引返すのでは面白くない。横岳(1583m)に登り、外輪山の反対の尾根を辿って「国見温泉」側に下ることにした。
小屋裏で湧き水を汲む。後は下るだけだからあまり必要ないのだが、念の為だ。

風の強過ぎる稜線沿いの路「大焼砂」。足元には「砂走り」のような砂地が広がり、激しい風に乗りそれがボクを激しく打ち付ける。少しでも気を抜いたら吹き飛ばされそうな風の中、確かにその中に雨をもたらす湿り気を感じていた。
天候が悪化するかもしれない。それもまた、縦走を躊躇させた要因のひとつであった。

上りで辿った尾根(水沢コース)。そして今この下ろうとする尾根(中生保内コース)を結ぶと、ひとつの外輪山が形成される。もしもその山頂部が崩れ落ちていなければ、この頂きは岩手山よりも高かったのかもしれない。しかしそれが崩れ落ちていなければ、ムーミン谷を代表するそのカルデラ内の美しさも存在し得なかったのだ。

多くの人は横岳から「焼森」を通って八合目に戻るため、この稜線を辿る人もまた少なかった。登り返す事を嫌ってか、カルデラ内を歩く人影も少ない。それは、池の端で食事を摂る人と、男女岳への階段で列を成す人々の数からすれば異様なほどだ。ほとんどの人は手ブラで、登山らしい装いは少ない。都市部の山で見かける山ガールですら、皆無と云えた。多くは家族連れ、若くは小学生の集団に引率者と云った具合だ。
幕営するような装備を背負ったのは、もちろんボクだけだ。そこではボクだけが異質な存在だった。

下山の稜線に立って、ようやく山行らしい装備の人たちと出会った。激しい風に煽られながら、懸命に登るその姿にそっとエールを贈る。不甲斐なく下山するボクの想いをそっと託して。

「国見温泉」への分岐を過ぎた。
木々の切れ間より姿見ノ池がチラチラと姿を現す。何処からか其処に姿を写すポイントでもあるのだろうかと期待しながら下るが、木々は下りれば下りるほどその姿を覆い隠して行く。
池から始る流れであろう、水場として記載された沢を越える。そして少し登り返すと、男岳へ登る路と、中生保内へと下る分岐に出る。男岳へ登る路はシッカリと踏み跡が付いているのだが、中生保内への下りは、えっ、て思う位に藪っていた。思わず路を間違えたのかと引き返しそうになるほどの茂みだった。

意を決して進むと、何処からともなく水音が響いてくる。そして「白滝」と出会った。
それはその名に違わず、白一色で覆われていた。それほど迄に急峻な沢の流れだった。
下山路は度々その流れから逸れ、再びその流れを横切ったりもしたが、その轟はいつ迄もその存在を示し響き続けていた。
ボクは下りながら、どれが白滝だったのだろうかと考えていた。その流れはどこ迄も沢と云うには急過ぎて、いつ迄もその白さを失っていなかった。

下山路をドロドロにするほどに増水していたその流れは、最後の渡渉地点で更にその水量を増し、靴を濡らさずに渡るのは不可能だった。濡れた飛び石を渡るのは危険過ぎて、ヒザまで浸かりながら渡った。

そこから「桧木内林道」の終点迄はわずかな距離だった。
終点の広場には一台の車が停められていた。山と高原地図(2014)によると「通行止」と書かれているが既に解除されたようだ。
道端には退けられた岩が転がり、舗装もされていない道は成形されたばかりだ。
「十丈の滝」を越える頃、道はいつしか舗装路に変わっていた。斜面よりホトバシル湧水は側溝を落ち葉で詰まらせ、道路をひとつの川に変えていた。先ほど靴を濡らしたばかりだが、少しでも乾かしたくて、水量の少ない場所を選び歩いた。
踵が痛み出す。濡れた足のまま一頻り歩いたのだから、当然、肉刺が出来ていた。登り始めて直ぐに痛み出した古傷は、一歩たりとも踏み出したくないくらいに酷くなっていた。

何処か腰でも下ろせそうな処があったらラーメンでも作ろう。少し休めば痛みも和らぐだろう。そう思って下りるのだが、一向にそんな処は見つからない。道の脇は深く森に閉ざされ、開けているのは別の林道への分岐だけだった。

一台の軽トラが林道を駆け上がって行く。
「メマトイ」を打ち払いながらチンバを引くボクの姿は、運転手からさぞかし奇妙に見えたであろう。
帰りにボクを拾ってくれたらいいのに。図々しい思いを抱かせるほどに切羽詰まっていた。

「田村麻呂の試し切りの石」への分岐を過ぎると牧草地が広がっていた。その一角に昼食を求めようとすれば出来なくもないだろうけれども、立入禁止のテープがボクを阻む。引返して来た軽トラに見咎められるのではないかと、気が曳けた。
腰を据えられそうな場所を見つけないまま、中生保内の集落に出てしまった。
そこを走る市道生保内中央線はバス道だ。集落が在るならバス停も有るだろうと辺りを見渡した。

「黒沢バス停 」
田沢湖駅まで2kmほどしかないが、もはや限界だった。
一時間に一本有るか無いかのバスも、あと五分で来る。
既に時間を過ぎた「市立田沢湖病院行」がドアを開けた。駅に行くかを聞いて乗り込む。整理券は出ない。乗客はボクひとり。
少し寄り道したバスは、駅のロータリーに滑り込んだ。

「150円です」貸切バスの運賃を、そう告げられた。

遭遇:マムシ×1、シマヘビ×1

呑み:グランマート田沢湖(飲食スペース、ポット、電子レンジアリ)

BGM
Afrojack vs. THIRTY SECONDS TO MARS - Do Or Die

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