日程:2013/03/24-2013/03/25(日帰り)
ルート:須磨浦公園前 - 馬ノ背 - 妙法寺 - 鍋蓋山 - 地蔵谷 - 掬星台 - 神戸ゴルフ倶楽部 - 一軒茶屋 - 東縦走路 - 宝塚ローソン - 塩尾寺 - 東縦走路 - 一軒茶屋 - 六甲ガーデンテラス - 掬星台 - 天狗道 - 菊水山 - 横尾 - 馬ノ背 - 須磨浦公園前
コースタイム:往路:8h 26min 37sec(休憩時間を含む)
:復路:12h 28min 51sec(休憩時間を含む)
距離:往路:44.035km
:復路: km
累積標高:往路:2,961m
:復路: m
天候:晴れ
気温:?
湿度:?
目的:キャノンボールラン
仲間:300人くらい
今回のキャノンボールは前夜の焼肉屋から始った。
三宮でメグ、タムと待合せてのCB前夜祭。
タムの「肉喰いて―」の一声で の美味いハラミを食らい、田んぼで激安なサシミを食い散らかし、jinanでは、ジュンマン、ヒロツと明日の健闘を祈り合い、閉っていたチンタを通り過ぎてモンクで〆た夜だった。
18:00
高田屋集合。
早めに着いたので、ひとり先にみょうがの天ぷらをアテに瓶ビールを傾ける。
六時を回るとひとりまたひとりと集まり、4人掛けのテーブルを6人で囲むこととなった。
20:30
山陽須磨浦公園駅受付。
仕事が残るショウヘイを店に残し、翌朝Speedに参戦の先生とメグと三宮で別れ、若干遅れて改札を出た。
そこには既に20人以上のマゾたちが集まっていた。
2週間前に膝を8針縫ったユトリとか、パンいちの裸で走るボウズとか、猫耳に豹のしっぽで走るオンナガクみたいなやつはまだいなかったが、あと一時間半もすれば、24時間以上続く過酷なお祭り騒ぎが始まるのだ。
それなのにボクはまた風邪をひいていた。子供用風邪シロップを1本飲み干したが、これがどこまで効いてくれるか。完走できるかどうかはこれに懸かっていた。
22:00
CBスタート。
今回もレオちゃんのエールで幕を開けたキャノンボールラン。
トップ集団は平地を走るようなスピードで駆け上がっていくが、ボクたちはカッちんみたいなヘンタイではないので小走りで行く。
「はぐれたら会えんようになんで」と声が掛るほど出場者が多い。キャノンボールという大海のなか、力なき小魚たちチームチンタのメンバーは、トレイルランナ―の濁流の中で身を寄せ群れを形成し進んでいった。
鉢伏山を抜け、旗振山を越える。鉄拐山へ向かう緩い登りの中で、シンちゃん、リンちゃん、ナップとの距離が少しずつ拡がっていった。そしてボクはひとりになった。
須磨アルプス渋滞。
去年はなかったアルプス渋滞。それだけ今回Powerの参加者が多い証拠だ。
そしてそこにモッちゃんの姿を見つけた。しかしそれもつかの間の道連れ。片道6時間台の彼に付いていくことなどできない。案の定、栂尾山の階段で置いていかれることになる。
代わりにペアを組むことになったのがエーちゃん。高倉台で追いつかれ「えー、みっちゃんと同じペースか」と落胆される。去年、妙法寺にて、先に行ってくれと言ったことを忘れているらしい。
菊水山登山口休憩。
山頂まで登ってしまうと寒いから下で食事を摂ろうと話し合って進む。考えるのはみな同じようで、ベンチには10人ほど人が集まっていた。
「みっちゃん、待っとったんやで」と言葉を残し、シンちゃんたちは待たずに登って行った。追いかける気はない。とりあえず空腹を抑えなければ登る気力も生まれない。押しつぶされたおにぎりをバックパックより取り出す。具は豆と梅干。行動食はジェル系の甘ったるいもんばかりになるから、こういった塩気のあるものが嬉しい。
そしてこの休憩中にガクとユッキーにも追いつかれる。「休まへんのか」「休まへん」とそのまま登っていく。今回ガクに抜かれたのは、この一瞬きりであった。
ビヤ~んAID到着。
膝が爆発しそうなモッちゃんや、足を使い果たしてしまったガクらと合流したり別れたりしながら進む。
鍋蓋を越え、下りに差し掛かる。カトーさんなら、カトーさんならきっとやってくれているであろうチンタ再度店を、「走らんかい」の側幕を探し走る。
ちょっとした登りの先にライトアップされたそれを見つけ、一気にテンション上がる。
「ビールください」と駆け寄るが、「無いビヤ~ん」「明日大量に用意しておくから、楽しみにしておくビヤ~ん」との返事が。
それならと高級ワインでもと高級チタンカップに注ぎ勝手に頂く。ガソリン補給を済ませ、頑張りますかっとモチベーションも上がったところで、下りでは膝痛を患うモッちゃんのペースが上がらないのでのんびりのんびりといく。
掬星台休息。
「もうあかん、天狗は登られへん」と地蔵を目指すガクたちと別れ、ボクらは正当たる正統な天狗道を辿った。
ここ数回のCBでは地蔵谷を選んでいただけに、こないシンドかったかなって思うほどその道程はシンドかった。
三つほどピークを越えたよなって記憶は正しかったのだが、記憶以上にその峰を越えるたびに下り、やっぱりCBってシンドイんだよなって思いが膨らんでいった。それでもそれらのそのシンドイ盛上りを乗り越えて、電波塔まで辿りついたのだった。それと同時に、ここからはチャリで行くエーちゃんとの別れであった。それでは頑張って、とこれから先に続く3/4の道程をあまり考えずに宝塚での再会を誓いあったのだった。
次回もあるんやから、無理せず下りたらええねんってモッちゃんへの心配は無用だった。「宝塚までは行きます」と折れない心は流石は20代学生の持ち合わせるところ。それなら頑張ろうと、モッちゃん共々ひとりも欠けることなくゴールを目指そうと心新たにする。
そうして迎えた掬星台には、溢れんばかりの車が停まっていた。ここではどんなに豪華なエイドが繰り広げられているのだろうかと、東屋へと向かう。しかしそこには全くと言っていいくらい、というか、全くもってエイドどころか人っ子一人いやしなかったのだった。1000万ドルの夜景を前にいちゃつくカップルの群れを前に、ボクらキャノンボーラ―達は自販機の灯りを浴びながらあったかーいコーンスープやつめたーいコカコーラを啜っていた。
再びここでシンちゃんたちと合流したボクには、1000万ドルの夜景にいちゃつたり、自販機の灯りを背にコカコーラを買う余裕すらなく、「はよいくで」の言葉一つで少しは休みたいなって思いも無視され、先を急ぐしかなかった。
アゴニ―を行くボクの主張は「シンドイ」の一言で今回もまた一蹴された。
「新しいルートを見つけたからついてこれたら教えたる」とペースを上げるシンちゃんたちは、摩耶の闇にまぎれ、すぐに見えなくなる。
「階段いく?坂いく?」置いて行かれたボクらはオーソドックスにサウスロードを辿る。「階段行こう、その方が早い」今度は拒絶されなかった。
長い階段を上ると、三国岩への分岐に灯りが二つ見えた。それは遥か先に行ったはずのシンちゃん達であった。「なんや、むしろ遅いやないか」と思いながら、三国岩へ向かうシンちゃん達と再び別れ、サウスロードを辿った。
つづく
「平らなところと下りだけ走ろ」
そんな、温いナップの意見にみんな賛成だった。
仕事の都合上片道しか走れないショーヘーや、宝塚でリタイヤ予定のモッちゃんを除くと、皆、全行程の1/4をわずかに超えたに過ぎなかったからだ。
「おっと、上りだ」
些細な勾配に、ナップが足を止める。それは走り始めなだけに、少しばかり物足りなく感じる。
しかしここで、「ガンガンいこうぜ」なんて選んではいけない。ここんとこは「いのちだいじに」いかなければならない。序盤にイチビッて、とばし、潰れていった例を数限りなく見てきた。それこそ今回もまた、学習していないガクのような存在を。
「オレ、メッチャ、上りに敏感やねん」
少しばかり長すぎた下りの果てに、その言葉は嬉しかった。
妙に綺麗な「走らんかい」の看板に首を傾げながら行くと、みよし観音の前に一台の車が停まっていた。
まさかの階段ランナーさんのエイド。
次は「ちゃりらん屋」エイドまで何もないんだな、と期待外れの掬星台を越えてきただけに涙が出るほどうれしい。
「お好きなスープをどうぞ」夜の寒さに人の温かさが身にしみる。
「申込もうと思っているうちに定員になってしまって、3日で打切るなんて思っていなくて、それでも参加出来たらなってエイドしたんです」
「いやいや、言って頂けたら一人くらいどうとでもなったのに」実力のある選手が多いほど、盛上るってもんだ。
「好きなだけ食べていってください」山と積まれた「うまい棒」に感極まる。
第6回CBハーフ部門優勝者だけあってキャノンボーラ―の気持ちをよくわかっている。時には吹雪くほどの寒さの中、行動食と言えば甘ったるいジェル系ばかり。心は常に熱くて辛いものを求めている。
ロードを走り、時にはトレイルを辿って、またロードに戻った。あと一つ急な坂を越えたら一軒茶屋だったかなあ、なんて緩い登りを歩いているとあっけなく一軒茶屋に出た。
そして安心の「ちゃりらん屋」さんエイド。
「温くて辛いものがいいですわ」の意見を汲んでもらってか、ミネストローネが用意されていた。その温かさと塩気がまた身に染みいる。
飲み切れないそのスープをペットボトルに入れようとして、パスタをバラ撒いていたのはショーへーだったかモッちゃんだったか。
東縦走路の夜は長い。
かつて、CBに往復の部門がなかった頃は、この東縦走路で夜を迎え、必ず雨が降りそぼり、1mも視界が利かぬほど霧が出たものだった。
しかし、今回は全く雨など降りそうもない。せっかく傘を背負って来たのに無用の長物だ。
「悪いけど、東縦走路に入ったらオレ、みっちゃん置いてくから」
大勢引連れて、ロクに走れなかったからかナップは言った。ヘッデンの電圧が下がり、悪路を駆け下りるのには不安があったボクは弱音を吐いた。
「ちょっと、言ってみただけだから」
ナップの優しさに触れた。
雨が降るでもなく、吹雪くわけでもなく、霧に蔽われることなく、ましてや雷が鳴り響きもしない快適で単調なキャノンボール。こんなことは今まで一度たりともなかった。何らかの試練が必ず課せられてきた。緩く、温く、緊張感もなく、ただただ惰性で宝塚を目指す。
「メイタンやるわ」茶色い液体の入ったフラスコを渡せれた。
「カフェイン入っとうから、目え覚めるで」
夜空はいつしか薄明を迎え、周囲の木々が、足元に転がる石ころが、ぼんやりと浮かびあげって来ていた。この時間帯が最も睡魔に襲われる。ナップに心配されるほどにボクの足取りは覚束なくなっていたのだろうか。
「水足しとうから少しは飲みやすいと思うねん」
「不味いな」
「せやろ、でもヨーコは美味い言うねん」
「全部飲んでいいで、下で又作るから」
また、ナップの優しさに触れた。
BCAA4000mgx1 28kcal
BCAA3600x1 18kcal
おにぎり(梅、豆)x各1 180kcalx2
蜂蜜+レモン汁 133kcal
高級ワイン100ml 73kcal
アミノサプリC555ml 89kcal
ポタージュスープ180ml 79kcal
うまい棒コーンポタージュ味4本 34kcalx4
うまい棒メンタイ味1本 33kcal
うまい棒たこ焼味1本 36kcal
ミネストローネ180ml 74kcal
メイタンCCC 109kcal
摂取カロリー:1168kcal
消費カロリー:5179kcal
HR147ave177peak
消費カロリーの1/3以上摂取するってのが、ボクの基本なんだけど全然足りてなかった。
それでもシャリバテせえへんかったんは、高田屋で瓶ビールや酎ハイ、アテなんかでカロリー摂取していたからだろう。
ルート:須磨浦公園前 - 馬ノ背 - 妙法寺 - 鍋蓋山 - 地蔵谷 - 掬星台 - 神戸ゴルフ倶楽部 - 一軒茶屋 - 東縦走路 - 宝塚ローソン - 塩尾寺 - 東縦走路 - 一軒茶屋 - 六甲ガーデンテラス - 掬星台 - 天狗道 - 菊水山 - 横尾 - 馬ノ背 - 須磨浦公園前
コースタイム:往路:8h 26min 37sec(休憩時間を含む)
:復路:12h 28min 51sec(休憩時間を含む)
距離:往路:44.035km
:復路: km
累積標高:往路:2,961m
:復路: m
天候:晴れ
気温:?
湿度:?
目的:キャノンボールラン
仲間:300人くらい
今回のキャノンボールは前夜の焼肉屋から始った。
三宮でメグ、タムと待合せてのCB前夜祭。
タムの「肉喰いて―」の一声で の美味いハラミを食らい、田んぼで激安なサシミを食い散らかし、jinanでは、ジュンマン、ヒロツと明日の健闘を祈り合い、閉っていたチンタを通り過ぎてモンクで〆た夜だった。
18:00
高田屋集合。
早めに着いたので、ひとり先にみょうがの天ぷらをアテに瓶ビールを傾ける。
六時を回るとひとりまたひとりと集まり、4人掛けのテーブルを6人で囲むこととなった。
20:30
山陽須磨浦公園駅受付。
仕事が残るショウヘイを店に残し、翌朝Speedに参戦の先生とメグと三宮で別れ、若干遅れて改札を出た。
そこには既に20人以上のマゾたちが集まっていた。
2週間前に膝を8針縫ったユトリとか、パンいちの裸で走るボウズとか、猫耳に豹のしっぽで走るオンナガクみたいなやつはまだいなかったが、あと一時間半もすれば、24時間以上続く過酷なお祭り騒ぎが始まるのだ。
それなのにボクはまた風邪をひいていた。子供用風邪シロップを1本飲み干したが、これがどこまで効いてくれるか。完走できるかどうかはこれに懸かっていた。
22:00
CBスタート。
今回もレオちゃんのエールで幕を開けたキャノンボールラン。
トップ集団は平地を走るようなスピードで駆け上がっていくが、ボクたちはカッちんみたいなヘンタイではないので小走りで行く。
「はぐれたら会えんようになんで」と声が掛るほど出場者が多い。キャノンボールという大海のなか、力なき小魚たちチームチンタのメンバーは、トレイルランナ―の濁流の中で身を寄せ群れを形成し進んでいった。
鉢伏山を抜け、旗振山を越える。鉄拐山へ向かう緩い登りの中で、シンちゃん、リンちゃん、ナップとの距離が少しずつ拡がっていった。そしてボクはひとりになった。
須磨アルプス渋滞。
去年はなかったアルプス渋滞。それだけ今回Powerの参加者が多い証拠だ。
そしてそこにモッちゃんの姿を見つけた。しかしそれもつかの間の道連れ。片道6時間台の彼に付いていくことなどできない。案の定、栂尾山の階段で置いていかれることになる。
代わりにペアを組むことになったのがエーちゃん。高倉台で追いつかれ「えー、みっちゃんと同じペースか」と落胆される。去年、妙法寺にて、先に行ってくれと言ったことを忘れているらしい。
菊水山登山口休憩。
山頂まで登ってしまうと寒いから下で食事を摂ろうと話し合って進む。考えるのはみな同じようで、ベンチには10人ほど人が集まっていた。
「みっちゃん、待っとったんやで」と言葉を残し、シンちゃんたちは待たずに登って行った。追いかける気はない。とりあえず空腹を抑えなければ登る気力も生まれない。押しつぶされたおにぎりをバックパックより取り出す。具は豆と梅干。行動食はジェル系の甘ったるいもんばかりになるから、こういった塩気のあるものが嬉しい。
そしてこの休憩中にガクとユッキーにも追いつかれる。「休まへんのか」「休まへん」とそのまま登っていく。今回ガクに抜かれたのは、この一瞬きりであった。
ビヤ~んAID到着。
膝が爆発しそうなモッちゃんや、足を使い果たしてしまったガクらと合流したり別れたりしながら進む。
鍋蓋を越え、下りに差し掛かる。カトーさんなら、カトーさんならきっとやってくれているであろうチンタ再度店を、「走らんかい」の側幕を探し走る。
ちょっとした登りの先にライトアップされたそれを見つけ、一気にテンション上がる。
「ビールください」と駆け寄るが、「無いビヤ~ん」「明日大量に用意しておくから、楽しみにしておくビヤ~ん」との返事が。
それならと高級ワインでもと高級チタンカップに注ぎ勝手に頂く。ガソリン補給を済ませ、頑張りますかっとモチベーションも上がったところで、下りでは膝痛を患うモッちゃんのペースが上がらないのでのんびりのんびりといく。
掬星台休息。
「もうあかん、天狗は登られへん」と地蔵を目指すガクたちと別れ、ボクらは正当たる正統な天狗道を辿った。
ここ数回のCBでは地蔵谷を選んでいただけに、こないシンドかったかなって思うほどその道程はシンドかった。
三つほどピークを越えたよなって記憶は正しかったのだが、記憶以上にその峰を越えるたびに下り、やっぱりCBってシンドイんだよなって思いが膨らんでいった。それでもそれらのそのシンドイ盛上りを乗り越えて、電波塔まで辿りついたのだった。それと同時に、ここからはチャリで行くエーちゃんとの別れであった。それでは頑張って、とこれから先に続く3/4の道程をあまり考えずに宝塚での再会を誓いあったのだった。
次回もあるんやから、無理せず下りたらええねんってモッちゃんへの心配は無用だった。「宝塚までは行きます」と折れない心は流石は20代学生の持ち合わせるところ。それなら頑張ろうと、モッちゃん共々ひとりも欠けることなくゴールを目指そうと心新たにする。
そうして迎えた掬星台には、溢れんばかりの車が停まっていた。ここではどんなに豪華なエイドが繰り広げられているのだろうかと、東屋へと向かう。しかしそこには全くと言っていいくらい、というか、全くもってエイドどころか人っ子一人いやしなかったのだった。1000万ドルの夜景を前にいちゃつくカップルの群れを前に、ボクらキャノンボーラ―達は自販機の灯りを浴びながらあったかーいコーンスープやつめたーいコカコーラを啜っていた。
再びここでシンちゃんたちと合流したボクには、1000万ドルの夜景にいちゃつたり、自販機の灯りを背にコカコーラを買う余裕すらなく、「はよいくで」の言葉一つで少しは休みたいなって思いも無視され、先を急ぐしかなかった。
アゴニ―を行くボクの主張は「シンドイ」の一言で今回もまた一蹴された。
「新しいルートを見つけたからついてこれたら教えたる」とペースを上げるシンちゃんたちは、摩耶の闇にまぎれ、すぐに見えなくなる。
「階段いく?坂いく?」置いて行かれたボクらはオーソドックスにサウスロードを辿る。「階段行こう、その方が早い」今度は拒絶されなかった。
長い階段を上ると、三国岩への分岐に灯りが二つ見えた。それは遥か先に行ったはずのシンちゃん達であった。「なんや、むしろ遅いやないか」と思いながら、三国岩へ向かうシンちゃん達と再び別れ、サウスロードを辿った。
つづく
「平らなところと下りだけ走ろ」
そんな、温いナップの意見にみんな賛成だった。
仕事の都合上片道しか走れないショーヘーや、宝塚でリタイヤ予定のモッちゃんを除くと、皆、全行程の1/4をわずかに超えたに過ぎなかったからだ。
「おっと、上りだ」
些細な勾配に、ナップが足を止める。それは走り始めなだけに、少しばかり物足りなく感じる。
しかしここで、「ガンガンいこうぜ」なんて選んではいけない。ここんとこは「いのちだいじに」いかなければならない。序盤にイチビッて、とばし、潰れていった例を数限りなく見てきた。それこそ今回もまた、学習していないガクのような存在を。
「オレ、メッチャ、上りに敏感やねん」
少しばかり長すぎた下りの果てに、その言葉は嬉しかった。
妙に綺麗な「走らんかい」の看板に首を傾げながら行くと、みよし観音の前に一台の車が停まっていた。
まさかの階段ランナーさんのエイド。
次は「ちゃりらん屋」エイドまで何もないんだな、と期待外れの掬星台を越えてきただけに涙が出るほどうれしい。
「お好きなスープをどうぞ」夜の寒さに人の温かさが身にしみる。
「申込もうと思っているうちに定員になってしまって、3日で打切るなんて思っていなくて、それでも参加出来たらなってエイドしたんです」
「いやいや、言って頂けたら一人くらいどうとでもなったのに」実力のある選手が多いほど、盛上るってもんだ。
「好きなだけ食べていってください」山と積まれた「うまい棒」に感極まる。
第6回CBハーフ部門優勝者だけあってキャノンボーラ―の気持ちをよくわかっている。時には吹雪くほどの寒さの中、行動食と言えば甘ったるいジェル系ばかり。心は常に熱くて辛いものを求めている。
ロードを走り、時にはトレイルを辿って、またロードに戻った。あと一つ急な坂を越えたら一軒茶屋だったかなあ、なんて緩い登りを歩いているとあっけなく一軒茶屋に出た。
そして安心の「ちゃりらん屋」さんエイド。
「温くて辛いものがいいですわ」の意見を汲んでもらってか、ミネストローネが用意されていた。その温かさと塩気がまた身に染みいる。
飲み切れないそのスープをペットボトルに入れようとして、パスタをバラ撒いていたのはショーへーだったかモッちゃんだったか。
東縦走路の夜は長い。
かつて、CBに往復の部門がなかった頃は、この東縦走路で夜を迎え、必ず雨が降りそぼり、1mも視界が利かぬほど霧が出たものだった。
しかし、今回は全く雨など降りそうもない。せっかく傘を背負って来たのに無用の長物だ。
「悪いけど、東縦走路に入ったらオレ、みっちゃん置いてくから」
大勢引連れて、ロクに走れなかったからかナップは言った。ヘッデンの電圧が下がり、悪路を駆け下りるのには不安があったボクは弱音を吐いた。
「ちょっと、言ってみただけだから」
ナップの優しさに触れた。
雨が降るでもなく、吹雪くわけでもなく、霧に蔽われることなく、ましてや雷が鳴り響きもしない快適で単調なキャノンボール。こんなことは今まで一度たりともなかった。何らかの試練が必ず課せられてきた。緩く、温く、緊張感もなく、ただただ惰性で宝塚を目指す。
「メイタンやるわ」茶色い液体の入ったフラスコを渡せれた。
「カフェイン入っとうから、目え覚めるで」
夜空はいつしか薄明を迎え、周囲の木々が、足元に転がる石ころが、ぼんやりと浮かびあげって来ていた。この時間帯が最も睡魔に襲われる。ナップに心配されるほどにボクの足取りは覚束なくなっていたのだろうか。
「水足しとうから少しは飲みやすいと思うねん」
「不味いな」
「せやろ、でもヨーコは美味い言うねん」
「全部飲んでいいで、下で又作るから」
また、ナップの優しさに触れた。
BCAA4000mgx1 28kcal
BCAA3600x1 18kcal
おにぎり(梅、豆)x各1 180kcalx2
蜂蜜+レモン汁 133kcal
高級ワイン100ml 73kcal
アミノサプリC555ml 89kcal
ポタージュスープ180ml 79kcal
うまい棒コーンポタージュ味4本 34kcalx4
うまい棒メンタイ味1本 33kcal
うまい棒たこ焼味1本 36kcal
ミネストローネ180ml 74kcal
メイタンCCC 109kcal
摂取カロリー:1168kcal
消費カロリー:5179kcal
HR147ave177peak
消費カロリーの1/3以上摂取するってのが、ボクの基本なんだけど全然足りてなかった。
それでもシャリバテせえへんかったんは、高田屋で瓶ビールや酎ハイ、アテなんかでカロリー摂取していたからだろう。
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