スキップしてメイン コンテンツに移動

六甲惨歩

ルート:関電新神戸変電所-坊主山-関電巡視路-高羽道-油コブシ分岐-鶴甲

単独行

"クリスマス終了のおしらせ"を受け、久しぶりに後悔してみようと思い、MTBを携えて六甲山へと向かった。
御影山手を抜け、関電新神戸変電所脇を上る。本日の予定では高羽道を通り、油コブシを越え、六甲山上駅に出る。そして西六甲を走り、衝原、三木、明石と巡り帰る予定であった。
そして、その予定が狂いだしたのは早くも変電所を越えたときからだった。その道を真っ直ぐ進めば高羽道となる。だが、その横には反対方向を指し示す矢印が書かれていた。こんな所にバリエーションルートが在ったのか?そう思い、矢印に導かれ先へと進んだ。

11:04
送電鉄塔で舗装は途切れ、その奥に踏み跡と赤テープが続く。ビンディングシューズからトレランシューズに履き替え、バイクを押して踏み跡を辿る。そして間もなくそれを見失う。どちらへと進めば良いのかテープを探すのだが見当たらない。斜面の下へと目を遣ると、そちらに赤テープを見付けた。
ルートを逆に辿ってしまっていたのか、と気付くが今更戻る気には成れなかった。
ルートを間違えたのなら戻る。当然の如くそれが基本なのだが、六甲山など庭のような物、と舐めてかかっていた。慢心していたと言っても良い。この辺りの地形は全て頭に入っている。このまま登れば坊主山に出る。登ることが出来なくなったときに戻ればよい、普通の山であれば取らないそんな決断。この時、ヘッデンはおろか、コンパスと地図すら携えてはいなかったというのに。

絡みつく蔦を振り解き、倒木を乗り越え、遮る笹を押し分け入る。登りだして十五分足らず、その時早くも迷走を始めていた。兎に角上へ向かう、それだけしか頭になかった。倒木で足を切り、チェーンは外れ、油で手を汚す。何とか尾根筋に上がり、獣道を見付けたときには引き返すべきではないか、という考えが頭を過ぎった。だが、今更引き返すには困難すぎる道のりだった。最早、上を目指すしか道は残されていなかった。上へ進み、エスケープルートを探す。そうするしかなかった。
そんな時、木々の切れ間より鉄塔の頭を見付けた。あそこまで行けば管理用巡視路があるはず、と希望が見えた。

11:58
"YO! 1,1,2,2,3,3,4,4
ガンガン ズンズン グイグイ上昇
上に向かってfull power
"

と持てるだけの力を振り絞り、よじ登る。崖と言ってもおかしくないような坂を乗り越える。そうして漸く辿り着いた鉄塔の袂。予想通りの巡視路。そのしっかりとした踏み跡を辿り、バイクを押し歩く。

12:38
高羽道に戻り、油コブシへ続く分岐に差し掛かった。油コブシへと向け数歩踏み出すが、既に時刻は十二時半を廻っていた。
思いつきでのコース変更、あまりにずさんな行動計画。予定では既に尾根へ上がり、カレーにありついているはずであったのに。腹が減った、もう限界だ。行動食を持ってこなかった事を後悔しつつの無念の下山。

途中、そういえば展覧会用の写真を撮りに来たのが主たる目的のひとつであった、と思い出し、数枚撮ってみる。まぁ、何だ、まだ時間もあることだし、ノンビリと。

坊主山
標高376m
兵庫県
所在地:兵庫県神戸市灘区
所要時間:1:55

コメント

このブログの人気の投稿

南北ドントリッジ下見

日程:2014/10/08(日帰り) ルート:長峰霊園 - 摩耶東谷 - 山寺尾根 - 掬星台 - 桜谷道 - 徳川道 - 北ドントリッジ - 分水嶺越林道 - 布引道 - 新神戸駅 コースタイム:04h 04min(休憩時間を含む) 距離:13.179km 累積標高:1,054m 天候:晴れ 気温:? 湿度:? 目的:例会山行下見 単独行 例会山行のリーダに指名されたからにはヤラざるを得ない。もちろんやること自体は、ヤブサカデハナイ。 「山羊戸渡」を要望されていたのだが、なんかみんなに過大評価している感、満載なルートなだけに気持ちがどうにもこうにも盛上らない。 って云うか、かつてそんな多大なる期待を受けて連れて行ったのに、その数多過ぎる所期を満たすことなんてとても出来やしなくて、ガッカリルートに認定されたことからも気持ちが萎えてしまう。 結局、余り足を踏み入れないコースを案内しますよ、なんて言葉を濁す。とどのつまり「山羊戸渡」までのアプローチの長さ故にダレタ気持ちを、その先から続くひたすらシンドイだけのアルバイトに過ぎない行程を満足させられるだけの力量を持ち合わせていないってコトだけのことだ。 で、選んだのは、摩耶東谷から南北ドントリッジへと続くルート。 ボクは通常、摩耶東谷を辿る時は、日本三大廃墟として名高い「マヤカン」へと詰めるのだが、一応、立入禁止となっている個人所有の敷地へと不法侵入すべく皆を連れて行くわけにも行かず、かと云って摩耶東谷を通しても、最終的にシンドイだけの藪漕ぎになるので、少しはマシだろうと山寺尾根へ抜けるルートを選択した。 通常、ボクひとりで上るのなら、摩耶東谷を谷通しで行くのだが、同行者が居るとなるとそうも行かない。摩耶東谷より入渓し、堰堤を捲いたところで山寺尾根との分岐へと戻った。そこで堰堤工事を知る。この路へは立入禁止だと知った。 山寺尾根をそのまま辿り、途中の広場から摩耶東谷へ下りる路を調べた。だがそこも、人を連れて行くにはどうかなって、路だった。 だからボクは、谷通しで良いかなって思った。 谷を歩く内は涼しくて良かった。だが、一度沢を外れ尾根を伝うと、その急勾配ゆえに、晩秋とは云え、まだまだ激しく照りつける日差しゆえに、段々と消耗していった。 今日はとても暑い日で、リュックの重

紀ノ川水系下多古川 本谷遡行 一日目 2020年6月6日

六月も初めだというのに全国各地で真夏日をたたき出す猛暑が続くなか、これはもう沢だな、と沢装備を整え出社する。 沢足袋のフェルトを張替えていなかったなと、石井スポーツで草鞋を買って大峰を目指した。 「関西起点 沢登りルート100」が見当たらないのでネットで適当に遡行図を探すが途中までのものしか見つからない。 初心者向けの容易な沢で登山道も沢筋に付いているみたいなことが書かれているから、オンサイトで大丈夫だろうとろくに情報も集めずに旅だった。 これがまたえらい苦労する羽目になろうなどとは何も知らずに。 沢沿いに今なお残る集落を抜け川をまたぐと一軒の建物が目についた。 確か川を渡ってすぐぐらいのところが取付きだったよな、うろ覚えの遡行図を思いだし、簡易浄水場の横から続く踏み跡をなぞって入渓した。 朽ち果てた取水口を越えるとすぐ、滝に出会った。 沢足袋に履き替え、草鞋を結ぶ。妙に鼻緒が短くて履きにくい。 念のためi-padで遡行図を確認する。6mの斜瀑(F1)とある。確かに6mくらいの高さだが、斜瀑というかふつうに滝だ。 直登できなくはないが、シャワークライムを強いられる。 思ったよりも気温が低いし日差しもない。入渓したばかりで体も温まっていないのに滝に打たれるのはいややなと、右岸の草付きを捲く。これが見た目以上に悪い。岩の上にうっすらと土がのり、頼りなげに草が生えている程度だった。 手掛かりになる樹根はおろか、幼木ですらほとんど手の届く範囲にはない。 それでも登れそうなポイントを探し、左へ左へとトラバースしていく。しかし、楽に登れそうなところは見つからず、心が折れた。 しかたがない。直登しようと緩んだ草鞋を結びなおした。 途端に鼻緒が切れた。ブチッとした手触りと共に、ボクの張りつめた気持ちも切れた瞬間だった。 取水口より手前まで戻り、今度は左岸を高捲く。獣道やもしれぬかすかな踏み跡をみつけ、たどる。 F1を越えて再び沢へ下りたいのだが、どれだけ探しても下りられそうなルートがない。捨て縄でも張れば別だが、戻ってこないので回収もできない。 下りられないのなら上を目指すしかない。どこかに登山道がついているかもしれないし、いっそ

武庫川水系西ノ谷遡行

武庫川水系西ノ谷遡行 武庫川水系太多田川赤子谷左俣 日程:2014/07/02-03(一泊二日) ルート:親水広場1613 - 入渓1628 - 霞滝1635 - 桜滝1648 - 満月滝1716 - 尾根1741 - 大峰山1834 コースタイム:2h 21min(休憩時間を含む) 距離:? 累積標高:? 天候:晴れ 気温:? 湿度:? 目的:沢登り 単独行 表六甲の沢の汚さに嫌気が差し、武庫川渓谷なら少しはマシだろうと西の谷を目指した。ついでに裏六甲の沢を幾つか絡めるつもりだ。 家の用事を何かしら片付けていると、なんだかんだでいい時間になってしまっていた。 宝塚でJR(宝塚-武田尾¥200)に乗換え、武田尾の駅より廃線跡を辿る。 放置され風化するに任されたトンネルを二つ抜け、親水広場から櫻の園へと入る。その入口を流れる沢が西の谷だ。 先ずは「もみじの道」を辿り、すぐに出会す堰堤を越えてから入渓する。そこですぐさま身支度を整える。沢足袋に履き替え、ラッシュガードを着る。電子機器はジップロックなり、サラスパの袋なり、LOKSAKなりで包み、ORのドライコンプサミットサックなり、EXPEDなりに突っ込んで完全防水にした。 最初の釜に入り腰まで浸かった。身体に籠った熱が嘘みたいに引いていく。暑さに負けてビールや酎ハイ片手に歩いた街中の暑さが、幻だったかの様に思えてくる。 幾つかの小滝を越え、10m程度の滝(霞滝)に出会った。越えられそうな気もするが、メットをも忘れてしまった単独行なので自重する。そして、定石っぽい右岸のルンゼから上った。そこに掛けられた残置ロープを頼るまでもないが、あったらあったでそれは楽だった。 再び緩い斜瀑を幾つか越えていく。そして幾段かの滝で構成された大滝と出会った。下から見上げても、どこが滝口か定かではない。それほどの連なりだった。 しかしその一段目に取付くには茶色く泡立った釜に浸かるか、無理矢理ヘツッて滝に寄るかしかなかった。もちろんその濁りに浸かりたくも無かったし、スタンスやホールドは随所に見られはするが、万が一落ちてしまった時のことを考えるとヘツるのも二の足を踏む。 結局、またまた右岸より草付きを登り、一段目を越えた辺りでトラバースし、上へと続く残置ロープを跨いで、滝へと戻った。