ボクは時々、焚火をする。 焚火をするために、時に山を、時に沢を、訪れる。 炎が落着くまでは、結構忙しく、また、煙たくもある。 だが、燠になれば、気の向くままに小枝を投げ込むだけでいい。 チロチロと揺らぐ火を見詰めながら、アルコールで思うままに、喉を焼くがいい。 そんな至福のひとときを想い、今宵また、胸を焦がす。 焚火は、眺めているだけで心が安らぐ。 夜風に凍える躰を温めてくれる。 ボクを喰いに来る獣を追い払ってもくれる。 それこそ、焚火の片隅で、脂の滴り落ちる肉塊を料理するなんてのは、漢のロマンだ。 そんな漢の夢を叶えてくれる道具の一つに 「パーセルトレンチ パッカーズグリル」 ってもんがある。 ステンレススチール管を曲げて溶接した、ただそれだけのものだ。ただそれだけのものが、6,700円(税抜)もする。 漢の夢が6,700円(税抜)で叶うのだから、安いだろって意見も有るだろうが、ボクにはちょっと手が出ない。そもそも、お足が足りない。 だから100均でバット網を買ってきた。ステンレススチール棒を曲げて溶接した、ただそれだけのものだ。ただそれだけのものが、100円(税抜)で手に入る。 冷静に計算してみると、1/67だ。冷静やなくても、1/67位のもんだろう。 漢の夢は、安ければ安い程いい。手近であればある程よい。 「若い時の苦労は買ってでもせよ」なんて云うが、ボクも、もはや、早々、若いなどと云う歳でもないし、しなくてもいい努力を、67倍もする必要など、そこには何処にもない。 そもそも、夢を見るような歳でもないだろって意見も多々アルだろうが「時間は夢を裏切らない、夢も時間を裏切ってはならない」ってM氏の主張もアルから、「夢は時間を裏切らない。時間も決して夢を裏切らない」ってM氏のメッセージも成立つワケだ。 ただ、その支えの心細さに、夢の重さを載せていいものかどうか、不安にもなる。 まずは素材が問題である。これがチタンなら、熱にも、強度的にも、問題はないだろう。 しかし、ステンレススチール鋼なら、どうだ。 炭素鋼は400℃以上で急激に引張強さが落ちるが、ステンレススチール鋼なら高温側にズレて500℃位。それこそ、炎の温度は700℃くらいだから、炎に曝し続けて荷重を掛けると降伏点に達するかもしれない。 パッカーズグリル