スキップしてメイン コンテンツに移動

世界自然遺産 白神山地主峰 白神岳登山 2018年8月14日

IMGP2420s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


なんかそれはまったくもう、奇跡としか云いようのない出来事だった。

ボクの立場から云えば、8月8日の台風がもたらした豪雨により、白神岳登山口の駅に降り立つことが出来ないでいた。秋田県、青森県をかすめるように抜けた颱風は、その地には雨こそもたらしはしなかったのだが、そこへと至る電車を止めていた。迂回路を選んでもその日中にはたどり着けそうにもなかった。だから、8月13日に行くことにするしかなかったのだ。
そこで早朝に電車に乗り、十二湖より登ることを考えた。「リゾートしらかみ」でアクセスすることに、あらためて計画し直した。
ところが指定席が買えなかった。満席だったのだ。それは全席指定の「リゾートしらかみ」には乗れないことを意味していた。だから秋田で5時間近く時間を潰して指定席のないワンマン電車に乗ったのだった。

ナミゾーの立場から聞けば、十二湖より大崩れまで登り、引き返して車中泊の翌朝に白神岳に登る計画だったと云う。でもどうせ登ったのだからと、引き返して登り返すなど馬鹿馬鹿しいと、十二湖より縦走し、白神岳登山口へと下りてきたのだった。


誰も来ないだろうと思っていた休憩所に、カップルが入ってきた。そのときボクは、眼鏡を外して本をただ読んでいるところだった。山の、沢登りの小説を、時間潰しに、暇潰しに、読んでいたところだった。
眼鏡を外していたのは、最近の眼の衰えから細かい文字が読めないからだ。老眼だからだ。
そして眼鏡なしにそちらに目をやろうとも、近眼のボクにはその姿を認められない。

休憩所の中を確かめるように気配は移動してた。眼鏡なしには確認できない彼らは徘徊していた。誰もいないだろうと思っていた休憩所に、何者かがいた不安を消し去るように会話は続けられていた。その言葉の端々に何か聞き覚えのある響きを感じていた。いや、まさか、と思う。いくらお互いよく山に登るといったって、東北の北の果ての山で、偶然出逢うなどないだろう、たまたま似た声質の人なのだろうと思っていた。だが、そこまで思っては、そこまで考えてしまっていては、確認しないわけにはいかない。
眼鏡をかけてその姿を確認した。その顔は、かつて幾度となく共に山を登った女性とそっくりだった。
「みっちゃんだ」そっくりさんからよく聞いた声で呼びかけられた。
「凄く似てる人がいるけど、反応がないから違う人かと思っていた」つまりそっくりさんは、そっくりなままの見た目通りに、これ以上ないほどそっくりなままに、本人だった。東京へ嫁いでいったナミゾーだった。

旦那さんは初見だが、前々から話はいやになるほど聞いていた。300名山、そのすべてを公共交通機関と徒歩のみで、車やタクシーなどは使わずに、アクセスだけで一日を費やしたりして登るという彼のスタイル。ボクとごくごく似た登山へのアプローチ。ここ、白神岳だけでも4回目だと云う彼のスタンスは、ボクのそれによく似ていた。だから知らず知らずのうちにどこかの山で彼と出逢っていたかもしれないのだが、ナミゾーと偶然ばったり出逢うのはこれが初めてだった。

「偶然出逢うなんて何万分の一だよ」彼は言った。
たまたま同じ日に同じ山に登る。そんな可能性はまったくなくはないだろう。だが、そこで出逢うかどうかは別だ。一本道のルートを反対から登ればいずれどこかで出逢う。しかし、山には多くのルートがある。多くの山に、さらに多くの路がある。そこで偶然出逢う。その可能性を、その確率を計算するのは不可能だし、無意味だ。
宝くじに当たる確率、だとか、砂漠で一粒の砂を探しだす可能性、だとか、どう例えればいいのだろうか。それほどまでに低い確率、あまりにも少ない可能性を、人は奇跡だとか運命だとか、少しの希望と多くのあきらめを込めてそう呼ぶ。
それほどまでの偶然がここにあった。

しばしの邂逅ののち、ボクは山頂を目指す。ナミゾー夫妻は電車で十二湖へと向かった。


IMGP2394s
PENTAX K-1 smc PENTAX 50mmF1.2


IMGP2396s
PENTAX K-1 smc PENTAX 50mmF1.2


IMGP2397s
PENTAX K-1 smc PENTAX 50mmF1.2


IMGP2398s
PENTAX K-1 smc PENTAX 50mmF1.2


IMGP2409s
PENTAX K-1 smc PENTAX 50mmF1.2


IMGP2422s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2423s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2426s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2429s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2430s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2431s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2433s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2436s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2443s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2447s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2451s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2456s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


鶏頭場の池
IMGP2460s
PENTAX K-1 smc PENTAX-DA ★ 60-250mmF4ED[IF] SDM


IMGP2465s
PENTAX K-1 smc PENTAX-DA ★ 60-250mmF4ED[IF] SDM


青池
IMGP2470s
PENTAX K-1 smc PENTAX-DA ★ 60-250mmF4ED[IF] SDM


IMGP2471s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2475s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


沸壺の池
IMGP2476s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


IMGP2478s
PENTAX K-1 SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM


沸壺池の清水
IMGP2481s
PENTAX K-1 smc PENTAX-DA ★ 60-250mmF4ED[IF] SDM


大崩と日本キャニオン
IMGP2489s
PENTAX K-1 smc PENTAX-DA ★ 60-250mmF4ED[IF] SDM



日程:2018/08/14(日帰り)
ルート:白神岳登山口0548 - 二股分岐0622 - 最後の水場0709 - 蟶山0747 - 大峰分岐0851 - 白神岳避難小屋0900 - 白神岳山頂0908 - 大峰分岐0920 - 蟶山1008 - 最後の水場1025 - 二股分岐

1050 - 白神岳登山口1108
コースタイム: 5h.20min (休憩時間を含む)
白神岳 1,235m 日本二百名山
蟶山 841.5m

地形図:十二湖、白神岳

距離:?km
累積標高:?m
天候:曇りのち雨
気温:?℃
湿度:?%
目的:ピークハント
単独行

JR白神岳登山口 - 十二湖 ¥190

十二湖駅産直所★★★★
森の物産館キョロロ★★★
物産館 カワセミ★★★

アオーネの湯¥500

コメント

このブログの人気の投稿

トゥエンティクロス終了のお知らせ

ルート:上野道取付 - 展望広場 - 掬星台 - 摩耶ビューテラス702 - 桜谷道 - 徳川道 - トゥエンティクロス - 新神戸 コースタイム:4h 55min(休憩時間を含む) 掬星台:692m 距離:?km 累積標高:?m 天候:雨一時豪雨 気温:? 湿度:? 目的:水遊び 単独行 「20+エライ事になっとうで」 シンちゃんからそう聞いたからには、そこに行かないわけにはいかなくなった。 何でも二十渉は、ここ連日のゲリラ豪雨により底なし沼と化しているそうだ。そして、そこで、クツを脱ぎ、膝まで砂に浸かり、腰まで沈み込んだところでようやく諦めて引返したという。 ナントカっていう動画(酔っ払っていたから何回も聞いたけど忘れた)で、底なし沼からの脱出方法を観ていたから大丈夫やったけど、知らんかったらホンマにヤバかった。先ず片脚を抜いて腹這に横たわり、腕を広げて沈み込まないようにしてもう片方の脚を引き抜くねん、なんて嬉々として語る。 それならボクはその先まで行ったろう、とその先までますます行かないわけにはいかなくなったのだった。 甲山へ走るというみんなとは別に二十渉を目指した。 始めは長峰から桜谷を抜け徳川から二十渉へ向おうと思っていたのだが、昨夜の2時過ぎまでの酒によるダルさと朝から降りそぼる雨に嫌気がさし、12時過ぎのスタートの上野道上りとなった。 「上りの報告と下山の報告は、ちゃんとしてや」の約束を守り、FBに入山届を上げた。 展望広場では早々に朝食兼昼飯となるガーリックトマトパスタを食す。 降り濡つ雨を避け、掬星台の702でビールを傾けながらFBに応える。そんな束の間の休息のうちに、雨脚は一際激しくなっていた。カウンターからソファーへ移り、ホットドッグにドリンクバーを追加した。そしてドッシリと腰を据え、宇宙兄弟を紐解いた。 もう帰ったろかなってのが正直本心だった。しかし、雨も小降りになった事だし、宇宙兄弟もアニメに忠実(アニメが漫画に忠実の間違い)でオモロかった事やし、気を取り直して、濡れそぼつ気にもなったわけだ。 雨の桜谷は、晴れの日よりもむしろ好ましかった。木に降り注ぐ雨が枝を伝い集まり、洞よりほとばしる様を眺めたり、路行くひとの歩みにより削り磨かれた窪みを、あたかもそこが滑床であるかのよう...

紀ノ川水系下多古川 本谷遡行 一日目 2020年6月6日

六月も初めだというのに全国各地で真夏日をたたき出す猛暑が続くなか、これはもう沢だな、と沢装備を整え出社する。 沢足袋のフェルトを張替えていなかったなと、石井スポーツで草鞋を買って大峰を目指した。 「関西起点 沢登りルート100」が見当たらないのでネットで適当に遡行図を探すが途中までのものしか見つからない。 初心者向けの容易な沢で登山道も沢筋に付いているみたいなことが書かれているから、オンサイトで大丈夫だろうとろくに情報も集めずに旅だった。 これがまたえらい苦労する羽目になろうなどとは何も知らずに。 沢沿いに今なお残る集落を抜け川をまたぐと一軒の建物が目についた。 確か川を渡ってすぐぐらいのところが取付きだったよな、うろ覚えの遡行図を思いだし、簡易浄水場の横から続く踏み跡をなぞって入渓した。 朽ち果てた取水口を越えるとすぐ、滝に出会った。 沢足袋に履き替え、草鞋を結ぶ。妙に鼻緒が短くて履きにくい。 念のためi-padで遡行図を確認する。6mの斜瀑(F1)とある。確かに6mくらいの高さだが、斜瀑というかふつうに滝だ。 直登できなくはないが、シャワークライムを強いられる。 思ったよりも気温が低いし日差しもない。入渓したばかりで体も温まっていないのに滝に打たれるのはいややなと、右岸の草付きを捲く。これが見た目以上に悪い。岩の上にうっすらと土がのり、頼りなげに草が生えている程度だった。 手掛かりになる樹根はおろか、幼木ですらほとんど手の届く範囲にはない。 それでも登れそうなポイントを探し、左へ左へとトラバースしていく。しかし、楽に登れそうなところは見つからず、心が折れた。 しかたがない。直登しようと緩んだ草鞋を結びなおした。 途端に鼻緒が切れた。ブチッとした手触りと共に、ボクの張りつめた気持ちも切れた瞬間だった。 取水口より手前まで戻り、今度は左岸を高捲く。獣道やもしれぬかすかな踏み跡をみつけ、たどる。 F1を越えて再び沢へ下りたいのだが、どれだけ探しても下りられそうなルートがない。捨て縄でも張れば別だが、戻ってこないので回収もできない。 下りられないのなら上を目指すしかない。どこかに登山道がついているかもしれないし、いっそ...

稲村ヶ岳

十津川水系川迫川モジキ谷遡行(初日前編) 十津川水系川迫川モジキ谷遡行(初日後編) 十津川水系川迫川モジキ谷遡行(二日目) 稲村ヶ岳 山上ヶ岳 ルート:モジキ谷取水口 - モジキ谷 - 稲村ヶ岳尾根 - 稲村ヶ岳 - 大日山 - 稲村小屋 - 山上ヶ岳 - 大峯山寺 - 宿坊 - 大峰奥駆道 - 吉野 コースタイム:?(休憩時間を含む) 稲村ヶ岳:1726.1m 大日山:1689m 山上ヶ岳:1719.3m 小天井ヶ岳:1211m 大天井ヶ岳:1438.9m 四寸岩山:1235.8m 青根ヶ岳:858.0m 日程2012/07/14-2012/07/15(一泊二日) 距離:?km 累積標高:?m 天候:晴れのち曇り 気温:? 湿度:? 目的:朱印 単独行 尾根へ上り詰め、一息吐いた。 そこでようやく沢靴を脱ぐ。足はふやけ、白くシワシワとなっている。空を見上げて佇んだ。そして今日の短い沢登りの経験と反省と微かな記憶の残滓に身を浸した。 しっかりと足を乾かさなければ。そんなボクの思いを無視するかのように、ボクの周りにブヨ達が纏わり付いてきた。 辛抱たまらんとばかりに、未だふやけた足にラフマの靴下を履いた。そして急ぎ、トレランシューズに履き替えた。それから更に迫りくるアブを避けて走り出す。 バリゴヤの頭から稲村ヶ岳まで踏み跡らしい踏み跡もなく、時より正しい路を進んでいるのか不安になった。そうして迷い迷いながらも稲村ヶ岳山頂の展望台に辿り着く。立ち去ろうとする登山者と挨拶を交わし、展望台へと上る。改めて身支度を整えるが、湿り気を帯びた足の裏や、それが染みついた靴下やインナーソールは今更どうしようもなかった。 そしてボクも、次の登山者と入れ替わるように重たい腰を上げた。 そしてそこから山上ヶ岳へ向かう路にもまた迷った。 稲村ヶ岳から山上ヶ岳間は行き交う人も多いはずなのに、踏み跡もしっかりと付いているはずなのに、それでも迷い、藪を漕ぎ、崖みたいなところを下り、しっかりと踏み固められた登山道にやっとの事で出たのだった。 薄暗い鞍部に一軒の小屋があった。 その周りに行く筋もの水の流れがあった。そのうちのひとつに近寄り、プラティパスを満たす。ボクも安堵の気持ちで満たされていく。これで何も不安になる事はなくなっ...